米朝首脳会談中止-ドル円は押し目買いスタンス継続
昨日トランプ大統領が6月12日にシンガポールで予定されていた米朝首脳会談を中止する、と発表したことを受け、市場は一時リスクオフ反応となり、米国株下落、米国債券上昇(金利低下)、ドル円下落となりました。しかし市場のリスクオフ反応は短時間で収束し、昨日のNY市場で米国株、米国債券ともに、ほぼ往って来いとなりました。
米朝首脳会談中止の背景は、ポンペオ国務長官との事前協議において、米国が望む形での非核化の実行を北朝鮮が受け入れていないことでしょう。うまくいきそうもない会談となるのであれば、やる意味はない、との米国の判断でしょう。
ドル円は一時109円割れまで下落し、昨日のコメントでご説明した109.19円を一時割り込みましたが、すぐにその水準を回復しています。北朝鮮問題が、当面これ以上深刻化するシナリオを描けないことから、ドル円の押し目買いスタンスを継続します。200日移動平均線(現在110.21円)を回復したところでの買い増しという対応でもいいでしょう。
目先の政治関連リスク要因は米国の貿易政策ですが、輸入車に25%の関税を掛ける、などの政策は中間選挙に向けた「リップ・サービス」の可能性が高く、実際のリスク要因になる可能性は低いと思われます。5月21日付コメントでご説明したように、やはり最大のリスク要因は、アルゼンチン・ペソ、トルコ・リラなど経常収支赤字の新興国通貨の下落が止まらないことに加えて、資源価格がピークアウトから下落に転じ、経済的悪影響が各所で顕在化すること、です。原油価格はピークをつけ下落トレンド入りしたようにも見えなくもないので、今後の原油価格動向には注意が必要です。