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2018年5月29日のマーケット・コメント

ついにブラジルで悪影響顕在化が始まったか

 

昨日、ブラジルの株式指数ボペスパが4.5%の大幅下落となりました。きっかけになったのはトラック運転手業界の大規模ストライキにより、荷動きが滞り輸送費が高騰することに対する懸念でしたが、ブラジル・レアルも3.65から3.74まで1日で2.5%大幅下落しており、完全に株安通貨安の様相です。まだブラジル国債は下落していませんが、通貨下落が続けばインフレ圧力は高まりますし(金利上昇要因)、ブラジルの財政運営に懸念が出てくれば、ブラジルに対する信用リスクは高まりますので(金利上昇要因)、この株安通貨安の状況が続けば、時間の問題で債券に波及し、株安通貨安債券安のトリプル安となるでしょう。

 

そのような状況の中で、もし原油価格が下落トレンド入りした場合、ペトロブラス(ブラジル石油公社)は再び経営難に陥り、その悪影響が金融機関に波及していくことが想定されます。そしてそれは更にスペインとポルトガルの銀行に、悪影響が波及していきます。スペインは政治不安も発生してきており、イタリアの政治不安もあり、ユーロ圏全体の問題に発展する可能性は低くないでしょう。

 

本日の東京市場は、いわゆるリスクオフの反応になっており、株下落、ドル・インデックス上昇だがドル円は若干下落(ドル以上に円がやや買われている)という状況です。このまま市場のリスクオフ反応が続いた場合、ドル円は108円程度(75日移動平均線および3月安値から直近高値の半値押し水準)までの下落はありえますが、円ショート・ポジションが溜まっていない以上、急速かつ大幅な円高ドル安進行は想定できません。ドル円の押し目買い姿勢、日本株の見送り姿勢を継続します。当面の最大の注目点は原油価格の動向です。