G7は予想通り決裂-米朝首脳会談もFOMCも予想通りか
先週末に行なわれたG7ですが、市場の予想通り米国はG7首脳宣言を承認しませんでした。G7決裂は極めて異例のことではありますが、トランプ大統領が事前に共同宣言を承認しない意志を表明していたため、市場としては「予想通り」の結果であり、朝方一瞬円高に触れたことを除けば、市場インパクトはまったくありませんでした。
G7が終了し、続くイベントは明日シンガポールで行なわれる米朝首脳会談、さらに13日のFOMC、14日のECB会合、15日の日銀決定会合となります。米国経済指標では、12日にCPI、14日に小売売り上げがあります。米朝首脳会談で金正恩委員長が米国に敵意を示すとは考えられず、セレモニー的に終わると思われ、市場インパクトはないでしょう。FOMCも「今回今年2回目の利上げ実行。ドットチャートで示される今年の予想利上げ回数中央値は、3回から4回へ引き上げられる。」という市場予想通りの内容になり、こちらもノーサプライズでの終了となるでしょう。
14日のECB会合では、一部に債券購入プログラムの終了時期を示唆する(タカ派シフト)の予想がありますが、スペイン、イタリアの政情不安定化、および欧州金融機関にとって影響の大きい、新興国通貨下落による経済混乱のリスクが高まる中で、ECBがタカ派シフトする可能性は低いと考えられ、ECB会合は若干のユーロ下落要因になる可能性があります。15日の日銀決定会合も政策変更は考えられず、ノーサプライズに終わるでしょう。
重要イベント目白押しの今週ですが、大きな市場材料になりそうなものはありません。むしろ、12日の米CPIや14日の米小売売り上げで意外な数値が発表されれば、市場インパクトを出す可能性があると考えます。(あくまでも「意外な数値」が発表されれば、ですが。)
先週末に発表された6月5日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが5月29日時点の71,218枚から55,497枚へ大幅減少、円ロングが63,182枚から52,060枚へこちらも大幅減少、その結果ネット・ポジションは8,036枚のネット円ショートから3,437枚のネット円ショートとなりました。2週連続で、円ショート円ロングともに大幅減少となり、円安円高どちらの方向にも動くエネルギーが減り、新たなニュースフローにどちらの方向にも動きやすい状態です。
しかし、ドル高進行国通貨安という現在の大きな流れを変える材料は出ないと思われ、ドル円の押し目買いスタンスを継続します。もし何らかの要因でドル円が大きく下落することがあれば、そこは買い場と捉えましょう。逆に、もし何らかの要因でドル円が急騰することがあったとしても、ドル・ロングをキープすべき、と考えます。ドル・ロングのポジションを調整するのは問題ないですが、急騰を受けてドル・ショートはすべきではない、ということです。
日本株に対する見方も、様子見で変更ありません。目先、23,000円を大きく越えて上昇することも、22,000円を大きく割り込んで下落することも、想定できません。しかし、新興国リスクが限界を超えた場合、世界的な株式市場下落が想定され、更に言うと日本株は外人投資家に相対的に売られやすい市場であるため、どちらかに抜けるなら下、という意識は持っておいて損はないと思います。世界株安が起こった場合に買うべきは米国株です。