米朝会談&米CPI
昨日、今週の目玉イベント一つ目となる米朝首脳会談が行なわれました。予想通り、セレモニー的なものに終わり、何の市場インパクトもありませんでした。やや意外だった点は、何一つ具体的なことが取り決められなかったことと、トランプ大統領が金正恩委員長に対して必要以上に愛想がよかったことです。どちらも悪い方向への意外感です。もちろん今後の成り行きを見守るしかありませんが、またしても北朝鮮お得意の時間稼ぎ作戦に、トランプ大統領もはめられるのではないか、という懸念は高まったと思わざるを得ません。だた、金委員長もトランプ大統領を怒らせたくはないでしょうから、米大統領が交代するまではあからさまな行動には出ないと思われ、北朝鮮問題は市場のリスク要因から消えたと言っていいでしょう。
また、昨日米国で5月のCPI(消費者物価指数)が発表されましたが、食料品とエネルギーを除くコアCPIは、事前予想通りの2.2%(年率)でした。これで3ヶ月連続で、FRBが目標とする2%を越え、今日のFOMCでの利上げは確実となりました。ただ、実質平均時給(前年比)は、事前予想の+0.2%に対して0.0%という結果で、「期待インフレ率の上昇により長期金利が押し上げられる」というほどの状況ではない、とも言えます。米国の市場環境は良好だということです。
とはいえ、S&P500の予想PERは昨日時点で17.5倍と、平常時の平均レンジ16-18倍の上限近くにあり、また新興国リスクや保護貿易リスクもまったく解消されていない中では、さすがの米国株といえども目先の上昇余地は限定的と判断せざるを得ません。日本株は、ここ2週間は米国株と歩調を合わせて堅調な状況ですが、日本株は全体に占める世界景気敏感業種の比率が、米国株に比べてはるかに高いため、世界景気ピークアウト懸念から世界的に株式市場が下落する時には、日本株は米国株に比べて下落率が高くなります。市場が感じるリスク要因が新興国リスクや保護貿易リスクから変わらない限り、日本株は米国株に対するアンダーパフォームが続くでしょう。