トランプ大統領対中舌戦激化
トランプ政権が打ち出した、中国製品への制裁関税7月6日からの340億ドル、後日追加で160億ドル、という発表に対して、中国はすぐさま米国製品への報復関税7月6日から340億ドル、米国の160億ドル実施と同時に中国も追加で160億ドルを実施すると発表しました。それを受けて、トランプ大統領は、中国が報復措置を講じるなら、米国は更に2,000億ドルの追加制裁を行なうことについて、品目の特定を米通商代表部(USTR)に指示した、と報じられました。これを受けて中国政府は、具体的内容に言及はまだないものの、強力な報復措置を取るつもりであることを表明しました。舌戦での報復合戦は、予想以上のスピードで予想以上の規模で激化してきました。
これらを受けて東京市場では、株下落、ドル円下落、債券上昇という、いわゆる典型的なリスクオフの反応になっています。ただ、日本株の中身を見ると、昨日ほど鮮明に中国関連銘柄が下落しているわけではなく、今日の下落は先物主導の印象です。日本株市場では、まだ米中両国の「実行の本気度」の織り込みを進めていいのかどうか、気迷っているということでしょう。外人投資家中心に、現物銘柄の売却よりも、とりあえずポジション・リスク削減で先物を売っている、ということではないでしょうか。
しかし昨日のコメントでもご説明したように、トランプ政権が仕掛ける米中貿易戦争は、敗者は中国、被害者は中国国民(中国経済)、という構図であり、トランプ政権の本気度は本物でしょう。いずれ市場の織り込みも進むと思われ、世界景気敏感銘柄を中心に株価調整が進みそうです。特に、これまで中国向け売り上げの成長により高い利益成長を達成してきた、設備投資関連銘柄、とりわけ省力化投資関連銘柄の株価下落余地はまだまだ大きいと思います。
逆に売られたところは買いたい銘柄群が、アマゾンに代表されるグローバル・プラットフォーム提供型の銘柄です。残念ながら日本には対象銘柄がなく、ほとんどが米国株です。本日上場のメルカリ(4385)がそのような銘柄になる可能性はない、とは言えませんが、現段階ではそれを織り込むには早すぎるでしょう。
ドル円は安値めど108円近辺と考えて、押し目買いの準備を始めましょう。