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2018年6月7日のマーケット・コメント

米国株市場で見る株式市場が感じているリスク

 

昨日の米国株は上昇し、NASDAQは史上最高値を更新しました。年初来の上昇率は、NASDAQが11.4%なのに対して、S&P500は3.7%、NYダウは1.7%に留まっています。これが、株式市場の参加者が何をリスクと感じているか、を表しています。先に結論を言うと、「世界景気のピークアウト」です。

 

米国株市場では、FAAMG(Facebook、Apple、Amazon、Microsoft、Google)に代表される大型成長株に資金が集中している状況を、以前ご説明しました。この状況は、今年3月にトランプ大統領がアマゾン批判をしたことなどから、一旦後退したものの、4月以降は再び資金集中が進み、NASDAQ同様にFAAMGも過去最高値を更新するに至っています。年初来の上昇率は、FAAMGが17.6%なのに対し、S&P495はわずか0.7%に留まっています。

FAAMGとS&P495

それらの銘柄の共通点は、

1.「プラットフォーム型のビジネスモデルであり、業績が景気変動の影響を受けにくい」2.「高いバリュエーション」

3.「成長持続のために設備投資や研究開発に多額を投じている結果、借入金残高は少なくない」

ということですが、2.3.をネガティブ視していないということは、株式市場は米国金利上昇をリスクと感じていない、ということです。

 

NYダウ採用30銘柄の年初来の騰落率を見ても、下落が大きい銘柄は、ゼネラル・エレクトリック、3M、IBMなどの景気敏感銘柄に加え、P&G、ジョンソン&ジョンソン、コカコーラなどの海外売り上げ比率の高い銘柄となっています。いまやそれら銘柄の海外売り上げの中の大部分は新興国での売り上げなので、やはり株式市場が感じているリスクは、世界景気、特に新興国景気のピークアウトから後退であるといえるでしょう。

 

日本株市場の特徴として、

1.全体に占める景気敏感業種のウェイトが相対的に高い。

2.新興国の中でも中国に対する依存度が圧倒的に高い。

3.積極的な売買主体は国内には存在せず、外人投資家依存度が高い。

ということが挙げられます。

つまり、現在のようにマクロ環境が小康状態のときは、外人投資家は様子見(積極的に売りも買いもしない)な中、レンジ内での動きになりやすいですが、新興国景気ピークアウトリスクが一段と意識される時には、日本株は外人投資家が積極的に売りたい市場の一つになり、世界株式市場の中で相対的に大幅に下落する市場となる可能性が高い、ということを認識すべきでしょう。

年初来のNYダウ採用銘柄の騰落率

ボーイング 25.99%
インテル 23.55%
マイクロソフト 19.82%
ビザ 19.52%
ナイキ 19.50%
シスコシステムズ 15.56%
アップル 14.63%
ユナイテッドヘルス・グループ 12.79%
メルク 10.06%
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー 3.20%
ホーム・デポ 2.14%
アメリカン・エキスプレス 1.67%
ファイザー 0.44%
ユナイテッド・テクノロジーズ -0.59%
キャタピラー -0.68%
シェブロン -1.45%
DowDuPont Inc -1.66%
エクソンモービル -1.89%
トラベラーズ -5.06%
ウォルト・ディズニー -5.21%
コカ・コーラ -5.27%
マクドナルド -5.66%
IBM -5.68%
ベライゾン・コミュニケーションズ -8.54%
ゴールドマン・サックス・グループ -8.84%
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) -12.12%
3M -13.39%
ウォルマート -14.37%
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) -19.08%
ゼネラル・エレクトリック(GE) -21.83%