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2018年7月10日のマーケット・コメント

買い戻し主導の戻り相場はそろそろ一服か

 

7月6日に米国が合計340億ドルの中国製品に制裁関税を発動、それを受けて事前通告通りに中国は合計340億ドルの米国製品に報復関税を発動し、米中貿易戦争が開戦しました。それに対して市場の反応は、両国とも事前通告通りの行動だったことに加え、先週末にトランプ大統領から事態を激化させるような発言がなかったことから、いわゆる悪材料出尽くしとなり、世界的に株式市場は反発しています。

 

出来高の少ない中、米中貿易戦争懸念により直近で株価が大きく下落した銘柄が、市場全体の反発を主導しており、新規の買いではなく買い戻し主導と見られます。また、先物にも明らかに買い戻しの動きが見られます。米中貿易戦争開戦による株価下落を狙ってショート・ポジションを取っていた短期投資家が、開戦でも株価下落しないので仕方なく買い戻してきた、ということが背景でしょう。

 

これまでも、何らかの大きな懸念により一方的に売られた後に、買い戻し主導でファンダメンタルズとは関係ない問答無用の買い戻し相場があったことが何度かありました。記憶に新しいところでは、BREXITをめぐる2016年6月から7月や、中国元切り下げから始まり資源商社グレンコアの経営破綻懸念があった2015年10月などです。懸念で売られた後の、買い戻し主導のリターン・リバーサル相場の持続期間は、過去の経験則で言うと3-5営業日でした。今回は今日で3営業日目であること、および日経平均やTOPIXは大幅下落した7月2日以降の下落をすべて戻した水準にあることから、今日で買い戻し主導の戻り相場は一服となる可能性は低くない、と考えます。

 

2015年10月や2016年7月の場合は、買い戻し主導相場が一服した後も一休みしてから続伸となりましたが、今回の場合は事前予想通りとは言え、実際に高関税の課税合戦が始まり、それは明らかに将来のファンダメンタルズ悪化要因です。今後は4-6月業績発表の際に、各企業が米中貿易戦争の影響をどのように見通してくるかを素材に、悪影響がどの領域にどのくらい出てくると予想されるかを見極める作業となります。

 

買い戻し一巡後に、上値を買っていくには厳しい状況だということであり、メインシナリオは日経平均で22,000-22,500円を中心レンジとする様子見相場継続です。リスク要因はトランプ政権による追加制裁と中国経済悪化の一段の顕在化で、その際は再び安値を試しに行く展開となるでしょう。