早くもトランプ政権から対中追加制裁発表
日本時間の今日午前7時45分(NY時間7月10日午後6時45分)に、トランプ政権は合計2,000億ドルの中国製品に対して10%の関税を課す、追加制裁関税の対象リストを発表しました。8月30日までに、一般からの意見公募や議会での公聴会を終えるとしています。
前回の合計500億ドルの時には、4月3日対象リスト公開、5月15-17日一般からの意見公募結果を踏まえて議会での公聴会、6月15日最終リスト&発動日程発表、でしたから、今回の2,000億ドルのスケジュール感としては、9月半ばに最終リスト&発動日程発表で、10月初めから発動というイメージです。
これを受けて中国は頭を悩ませていると思われます。というのも米国から中国への輸入額は1,500億ドル程度しかなく、輸入全量に報復関税をかけても足りないからです。報復関税以外の中国の対抗策としては以下が考えられます。
1.中国にある米国企業拠点に対する制裁高課税:
この場合、当然米国企業は中国から撤退し拠点を移すでしょうから、中国にとっては雇用機会の喪失リスクが発生します。
2.元安誘導:
2015年8月に元切り下げを行なった後、資本流出により元安が止まらなくなり、資本流出に厳しい規制をかけ、外貨準備を切り崩して元の買い支えを行なったことは記憶に新しいでしょう。再び同様の事態に発展する可能性は高く、中国にとっては大きなリスクです。
3.保有米国債の大量売却:
米国債券市場の下落(金利上昇)とそれによる米国株下落が想定され、米国経済には相応の打撃を与えることができるでしょう。しかし、世界的な資本市場の混乱は、中国にとっても決して望ましいことではないでしょう。また、米国債売却資金を元にするのであれば、上記2.と逆行する対ドルでの元高要因となりますし、もし米国債売却、欧州債購入であれば、他の投資家が割高になった欧州債を売却、割安になった米国債を購入するでしょうから、市場インパクトは吸収されてしまい、効果はあくまでも短期間で持続性は無いということになります。
いずれにせよ、中国にリスクの無い対抗策は見当たらず、今後の中国政府の声明が注目されます。