日銀の誘導目標金利修正をめぐる思惑
先週末に「次回(7月30,31日)の金融政策決定会合で、日銀が誘導目標金利水準の柔軟化を検討する」との報道を受け、本日は日本の10年国債利回りが先週末の0.03%から一時0.09%まで上昇し、長期金利上昇を受け金融株が幅広く上昇しました。しかし、この動きを受けて日銀は午前10時10分に、0.11%で金額の制限無く国債を買い入れる、いわゆる「指値オペ」を発動しました。指値オペの発動は2月2日以来となります。0.11%という指値水準は、昨年2月、7月、今年2月と、過去3回発動された際の水準と同水準です。
先週木曜日の、トランプ大統領のドル高けん制発言を受け、ドル円は直近高値の113円台前半からすでに2円以上下落していることで、日本の長期金利上昇持続観測によりドル円下落が加速することを避けたかったこと、および明日には40年債の入札があることを踏まえ、日銀は機敏に対応して来たと言えます。日銀による「市場との対話」であり、今回の指値オペにより(ドル安主導ではなく)円高主導でのドル円下落には歯止めをかけることができたと思われます。
先週末に発表された7月17日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが7月10日時点の100,395枚から135,671枚へ大幅増加、円ロングも60,563枚から77,021枚へ大幅増加となったものの、ネット円ショートは39,832枚から58,650枚へ大幅増加となりました。
7月17日付のコメントで、今後予想される展開について以下の様にご説明しました。
1.ドル円の更なる上昇により、円ロング筋は損切りせざるをえなくなり円ロングポジション減少。円ショート筋は順張りでポジション拡大させ、ポジション増加。
2.ネット円ショートは大幅増加し、ドル円下落材料に対して円ショートポジション解消の動きが広がり、ドル円は大幅下落。
3.円ショート、円ロングともにポジションが軽くなり、再スタート。
7月10日から7月17日でドル円が大幅上昇する中、円ロングもポジションが大幅に増えたことは意外でしたが、1.の段階は終了し、現在は2.の段階にある、と判断されます。今日の日銀の指値オペ発動で円高主導でドル円下落が加速するリスクは無くなったこともあり、110円トライ水準からゆっくりドル円を買い下がる、という姿勢に変更ありません。
日経平均は今回も重要なフシである23,000円を上抜けることはできなかった形になりました。今週後半から4-6月企業業績発表が始まりますが、それが市場全体を押し上げる材料になることは想定できず、「22,000-22,500円を中心としたボックス相場継続、抜けるとすれば下」のメインシナリオを維持します。