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2018年7月3日のマーケット・コメント

日本株調整-背景説明と下落を牽引する銘柄の不整合

 

昨日、日本株は久しぶりに見る大幅下落となり、日経平均、TOPIXともに下落率は2%を越えました。大幅下落の背景説明としては、今週末に迫る米国の中国製品への制裁完全開始による中国経済への悪影響懸念や、メキシコ大統領選挙でポピュリズム左派が政権を握ることになり、米国との対立深刻化懸念とされています。確かに中国株の下落と歩調を合わせる形で、日本株は下落しました。しかし、下落を牽引した業種や銘柄を見ると、はっきりと内需業種主導となっており、背景説明と相場の中身の整合性が取れません。

 

米中貿易戦争懸念で6月後半に下落率が大きかった銘柄は、下落を牽引するどころか相対的に下落率が小さく、6月まで相対的に株価動向が堅調だった内需・ディフェンシブ系の主力銘柄が軒並み大幅に下落しています。しかし、大幅下落した割には売買代金は盛り上がっていませんでした。また、先物にも明らかに売りが入っていました。この動きをあわせてその背景を考えると、相場の先行き不透明感から、

1.中長期資金のロングオンリー・マネージャーが、アクティブ・リスクの削減に動いてきた(景気敏感をアンダーウェイト、内需・ディフェンシブをオーバーウェイトしていると想定される。)

2.景気敏感にはヘッジファンドによるショートが入っており、買い戻しが入ったが、内需・ディフェンシブにはあまりショートが入っている形跡は無く、買い戻しが入らなかった。

3.資産配分責任者(アセットアロケーター)は、先物でヘッジポジションを作った。

ということだと思われます。

 

つまり、米中貿易戦争→中国への経済的打撃→中国関連株を売却、というロジカルな流れではなく、「本当に過去に前例が無い貿易戦争などに突入するのか」「今週中に米中で手打ちがあるのではないか」という思惑がある中で、「そうは言っても先行きは読めないからリスクは落とさなければならない」という思いが背景にあるのではないでしょうか?

 

今週末に実際に米国が中国製品に対する制裁関税を発動する事態になったら、改めて中国関連株売却の動きに戻ることが想定され、逆にもし今週中に米中が手打ちとなれば先物主導で買い戻しと成る可能性が高いと考えます。

 

ドル円は日本株のリスクオフの動きを受けても、まったく下落しておらず、あらためて日本株とドル円の相関はもはや消失した、との印象です。