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2018年8月16日のマーケット・コメント

日銀ETF購入のステルス減額は始まっている模様

 

昨日の前場引け時点で、日経平均は前日比0.38%下落、TOPIXは0.43%下落でしたが、日銀によるETF購入はありませんでした。日銀のETF購入額は、1-6月には3兆5,095億円(年間7兆190億円ペース)と年間6兆円をかなり上回るペースになっていましたが、7月の購入額は2,415億円(購入出動回数3回)に留まり、1-7月合計で3兆7,510億円(年間6兆4,302億円ペース)とペースダウンを図っていました。更に7月31日の日銀決定会合後の会見で「ETF購入額は6兆円を目処とするが市場環境次第で上下にぶれる」とされました。

 

国債買い入れ額はすでに2016年9月のYCC(長短金利操作)導入の際に「80兆円を目処とするが上下にぶれる」とされ、実際は年間50兆円程度に減額されています。ETF購入の発動条件は、これまではおおむね前場引け時点でTOPIXが0.3%程度以上の下落でしたが、これがおそらく0.5%程度以上の下落にハードルが上げられ、結果としてのETF購入減額に動いてきたと見られます。

 

本日の日本株は米国株下落を受けて下落で始まったものの、午前10時30分頃の「中国商務次官が貿易協議のために今月終わりごろに米国訪問」との報道を受けて、急速に下落幅を縮小する動きとなっています。しかし、米国が中国に対して妥協することは想定できず、米中貿易戦争が協議で終結することになるとしても、中国にとって平和解決とはならないでしょう。むしろ、米国から追加の2,000億ドルの制裁関税を発動される前に、いわば降伏条件を探りに行くという意味合いと捉えるべきでしょう。すなわち、中国経済への悪影響が消えることはなく、中国関連企業の業績懸念が払拭されるどころか、悪材料顕在化の可能性が高まる方向だと考えます。