ドル円と米国長期債のシカゴ筋ポジション
先週末に発表された8月14日時点のドル円のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが8月7日時点の108,943枚から107,737枚へ微減、円ロングが46,136枚から49,369枚へ小幅増加、その結果ネット円ショートは62,807枚から58,368枚へ小幅減少となりました。この間のドル円の値動きは、111円台半ばから緩やかに下落し、8月13日には110.11円まで下落するも、その後すぐに反発して111円台回復でした。推計簿価は、円ショートが111.20円、円ロングが110.34円ですので、円ショートは損益トントンで小幅なポジション解消、円ロングは小幅なナンピン買いだったと想定されます。
多少減ったとはいえ、58,368枚のネット円ショートはそれなりの円高進行エネルギーと言えます。シカゴ筋ポジションを集計発表しているのは、全米先物取引委員会(CFTC)という機関で、為替に限らずすべての先物ポジションのデータを発表しています。今回気になるのが米国長期国債先物のポジションです。ネット・ショート(債券下落=金利上昇に対するベット)は8月7日時点から20,376枚増加し240,483枚となりました。240,483枚は2010年以降で最高水準、週間の増加幅も過去最大級です。
これは米国長期国債に対する膨大な買い戻しエネルギーが溜まっているという事であり、何らかの「リスクオフ的なイベント」を受けて、米国株下落となった場合に、米国長期国債が大幅上昇(金利の大幅低下)する可能性が高いことを示唆します。その場合、リスクオフでの円買い、米国金利低下でのドル安という反応になる可能性が高く、ドル円の下落が予想されます。
ただ、米国のインフレ見通しに影響を与え、FRBの利上げ回数予想に大きな変化を与えるほどのイベントではない限り、債券上昇(金利低下)がトレンドとなるとは思えず、ドル円の下落も限定的になると思われます。想定される目処は、米国10年国債利回り2.60%、ドル円108円です。その場合でも、ドル円の買い下がり姿勢は変える必要はないと考えます。むしろ絶好の買い場と捉えるべきでしょう。(ドル円弱気派は105円までの下落を主張すると思いますが、ぶらされないことが重要でしょう。)