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2018年8月8日のマーケット・コメント

対中制裁関税第2

 

トランプ政権は、対中制裁関税第2弾となる合計160億ドルの中国製品に対する25%の関税を、8月23日から発動すると発表しました。さらに米国通商代表部(USTR)は、合計2,000億ドルの中国製品への追加制裁関税の適用を検討中であり、意見公聴期間が終わる9月5日以降に発動される可能性があります。

 

注目されるのが、これに対する中国の反応です。トランプ政権が6月15日に「7月6日から合計340億ドルの中国製品に対する制裁関税を発動。後日、追加の合計160億ドルの中国製品に対する制裁関税を発動する。」と発表した直後には、中国は「同程度の報復関税を同時期に発動する。」と表明しました。実際に、7月6日に合計340億ドルの中国製品に対して制裁関税が発動された際には、中国は合計340億ドルの米国製品に対する報復関税を発動しました。合計160億ドルの追加制裁関税発動は、いわば規定路線だったことに加え、今のところ中国から何も反応が無いため、今回の追加制裁関税発表は市場材料にはなっていません。

 

今後の中国政府の対応次第ということになりますが、中国政府は160億ドルに対する報復関税を発動することはせずに、話し合いでの解決を模索すると予想します。(本意はともかく、少なくともそのふりをする)もし中国が事前表明どおりに160億ドルの報復関税を発動した場合、米国は2,000億ドルの追加制裁関税発動ということになり、米国からの輸入額は1,300億ドルに過ぎない中国には打つ手がなくなります。「打つ手が無くなったので報復できない」という状況に追い込まれるよりは「打つ手はあるが行なわない」という状況を選択するほうが、どう考えても交渉上の劣勢の程度は軽微だと思われるからです。

 

前回の中国の報復関税発動発表が、米国が実際に7月6日に発動した後だったことを考えると、もし中国が事前発表どおりに追加の160億ドルに対する報復関税を発動させるとしても、8月23日以降ということになりますので、少なくともそれまでは米中関税合戦は市場材料にはならないでしょう。株もドル円もこれまでの見方を継続します。