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2018年8月9日のマーケット・コメント

中国は不利な関税合戦を選択

 

昨日の私の予想に反して、中国は事前表明通りに8月23日に合計160億ドルの米国製品に対して報復関税を発動する方針を表明しました。前回の7月6日の合計340億ドルの際と同様の対応です。ただその先には米国による合計2,000億ドルの中国製品に対する制裁関税第3弾が控えており、米国からの輸入額が1,300億ドルの中国は、すべての米国製品に報復関税をかけるとしても残り800億ドルしかありません。中国は、もし米国が2,000億ドルの追加制裁関税第3弾の発動に踏み切った場合には、600億ドルの報復関税発動の用意がある、としていますが、金額の均衡は取れなくなります。

 

米中貿易戦争が完全に泥沼化の様相を呈してきた中、世界的に株式市場は上値を追っていける状態ではなくなりました。特に中国関連銘柄は、4-6月業績発表が好調なものが多かったことを受け、下落一服となっていますが、貿易戦争による悪影響の顕在化はこれからの話であり、買い対象とすべきではありません。

 

米国で本日から日米通商協議が始まります。私が理解するトランプ政権の狙いは

「中国が将来米国にとって脅威的存在になり、米国の国益を損なう事態に発展することを防ぐために、あくまでも中国経済を弱らせることである。しかし、あからさまに中国だけを対象にするわけにはいかないので、欧州や日本など他国に向けても貿易圧力をかけている。ただ、将来米国にとって脅威的存在にはなり得ない欧州や日本などに、本格的ダメージを与える意図は無い。」

ということです。

 

したがって日米通商協議も、米国の顔を立てながらも日本に本格的ダメージが与えられる内容にはならない、と予想します。つまり、日米通商協議が日本株の大きな下落材料にはならないと考えます。しかし、途中経過のいわゆる「ヘッドライン・リスク(衝撃的な報道見出しリスク)」による日本株下落の可能性は低くはないでしょう。少なくとも現状水準からの上値余地は限定的であり、日本株に対しては慎重姿勢で臨むべきでしょう。