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2018年9月10日のマーケット・コメント

米雇用統計は9月利上げを後押し

 

先週金曜日に、8月の米国雇用統計が発表されました。非農業者部門雇用者変化は、事前予想の19.0万人増をやや上回る20.1万人増、失業率は前月比変わらずの3.9%でした。FRBの金融政策決定において注目度が高いとされる平均時給は、7月の前月比0.3%増(前年比2.7%増)から8月は前月比0.4%増(前年比2.9%増)と伸びが加速し、9月26日FOMCでの利上げ決定はほぼ確実となりました。

 

この発表を受けて、債券は下落(金利上昇)となりましたが、米国株とドル円はトランプ大統領の「中国が報復関税をやめなければ、更に追加で合計2,670億ドルの中国製品に制裁関税を課す」との発言に水を指された格好となり、伸び悩む展開となりました。2,670億ドルという数字は、すでに制裁関税発動となっている500億ドルと現在検討中の2,000億ドル以外の、残りすべての中国からの輸入額です。2,000億ドル発動時点で、すでに中国は金額で対抗できなくなりますので(中国は報復として600億ドルの追加報復関税発動を表明)、この2,670億ドル発言に対して、どのような報復措置を表明するのか不透明です。

 

直近に発表された中国の重要経済指標ですが、9月7日発表の外貨準備高は事前予想の3兆1,150億ドルを下回る3兆1,097億ドル(前月は3兆1,179億ドル)、9月8日発表の貿易統計は輸出が事前予想の10.0%増を下回る9.8%増(前月は12.2%増)輸入が事前予想の17.7%増を上回る20.0%増(前月は27.3%増)、本日発表のCPIは事前予想の2.1%増を上回る2.3%増(前月は2.1%増)、PPIは事前予想の4.0%増を上回る4.1%増(前月は4.6%増)となっています。まだ「鮮明に」とまでは行きませんが、中国元下落と米国による制裁関税の影響が「じんわりと」顕在化してきている、と言えるでしょう。中国株は本日も下落しており、2016年の安値水準で再び公的資金と思われる資金による買い支えが入るかどうかが注目されます。

 

先週末に発表された9月4日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)ですが、円ショートが8月28日時点の96,271枚から99,594枚に小幅増加、円ロングが50,230枚から47,572枚へ小幅減少となり、ネット円ショートは46,041枚から51,932枚へ小幅増加となりました。小幅ではありますが、リスクオフの差異の円高進行エネルギーが増加した、ということです。ただ、9月利上げが確実な中、米国長期金利の大幅低下は想定できないことから、ドル円の「110円近辺からは最大の下値目処108円を前提に買い下がり。利食いはこまめに。」という推奨に変更はありません。

 

日本株に関しても「中国関連銘柄を中心に慎重スタンス」という推奨に変更はありません。日本株に対して強気な意見の根拠は「バリュエーションが割安」ということばかりになっている印象ですが、それ以外に強気の根拠が見当たらないということが、まさに相場がすでにピークアウトして下落フェーズの初期にある、ということを物語っています。21,500-23,000円のボックス相場継続のあと最終的には下抜け、を予想します。