明日のトルコ利上げが新興国通貨問題再燃のきっかけになるか?
日本株市場で中国関連銘柄を中心に、景気敏感業種が弱い状態が続いています。昨日は、日経平均は+1.30%と大幅上昇したものの、TOPIXは0.67%の上昇に留まり、今週末のSQに向けた日経平均先物主導の動きでした。また昨日も本日も、明らかに景気敏感業種は弱い動きとなっています。
中国株も弱い動きが続いています。本日前場引けの上海総合指数は2,655.89で、2016年の引け値安値2,655.66(2016年1月28日)と同水準まで下落しています。直近安値2,653.11(2018年8月20日)や2016年のざら場安値2,638.30(2016年1月27日)も完全に視野に入る水準です。8月はこの水準で政府資金と思われる買い支えが入りましたが、今日も入るかどうかが注目です。中国政府は中国元の買い支えを優先し、中国株の攻防ラインが引き下げられる可能性があります。
小康状態となっている新興国通貨下落問題ですが、どの通貨も反発することはなく安値圏でのもみ合いとなっており、何かきっかけがあれば、再び下落が始まる可能性が高い状態だといえます。その「きっかけ」になる可能性があるのは9月13日に予定されているトルコ中銀の政策会合です。利上げをしないことを公約に当選したエルドアン大統領ですが、トルコ・リラ防衛のためにもはや利上げは避けられない、ということがコンセンサスになっており、政策会合では政策金利を17.75%から21.00%へ引き上げられるという予想になっています。
もし21%までの利上げがなかったら、現在のトルコ・リラ相場では21%を織り込んでいるわけですから、トルコ・リラは下落するでしょう。また、21%あるいはそれ以上の水準まで利上げがなされたとしても、トルコ・リラは上昇するかと言えば、その反応は微妙だと思われます。公約に反して大幅な利上げをするということは、更にどこまでも利上げをする可能性がある、とも捉えられ、継続的な利上げによるトルコ経済への悪影響の拡大懸念から、トルコ・リラは下落という反応をする可能性も低くないと思えるからです。実際に、アルゼンチンでは政策金利が60%にまで引き上げられても、アルゼンチン・ペソの下落は止まっていません。
新興国通貨下落問題の再燃は、景気敏感業種の株価下落を加速させるでしょう。もし「リスクオフで円買い」という反応になり、ドル円が下落すれば日本では景気敏感業種の下落は顕著なものになります。各国の株式市場の指数は、景気敏感業種の構成比率によって結果的に決まるものに過ぎません。構成比率の高い、日本や他のアジア市場、ドイツなどの一部欧州市場の下落は相対的に大きくなり、米国市場の下落は相対的に小さくなります。米国市場での下落は「NYダウ」>「S&P500」>「NASDAQ」となります。