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2018年9月3日のマーケット・コメント

中国の景気減速顕在化始まる

 

本日の前場場中に発表された、中国の財新製造業購買担当者指数(PMI)は50.6と、前月の50.8や事前予想の50.7を下回りました。前年同月は51.6でした。先週金曜日に発表された中国政府発表の製造業PMIは51.3と、前月の51.2や事前予想の51.0を上回りましたが、本日発表された「民間版」PMIは「政府版」とは逆になった形です。統計に対する信頼感は、政府版よりも民間版のほうが高いとされており、いよいよ米中貿易戦争による中国経済の一段の減速の顕在化が始まった可能性が高いといえるでしょう。

 

先週末に米国とカナダの間でNAFTA妥結がなかったことも、一部で悪材料と解説されていますが、市場の見方は「カナダは早晩妥結」だと思われ、市場変動材料ではないと考えます。実際、日本株は中国PMI発表後に下げ足を早めています。日本の企業業績にとって、中国経済の減速は甚大な影響が及ぶ要因であり、今後も着実に続くと思われる中国経済減速の顕在化は日本株の上値を抑えるには十分でしょう。

 

日経平均はまたしても「23,000円の壁」を越えられない形になりましたが、下値は切り上げてきており、テクニカル的には「強気三角持合」の形になっています。また、25日、75日、200日の移動平均線3本が、同一水準(22,500円付近)に終結するという、あまり見ないチャートになっています。しかし、より広範な株価動向を現すTOPIXは、上値を切り下げる「弱気三角持合」で、7月末から8月始めにかけては200日移動平均線、今回は75日移動平均線が明らかに上値抵抗となっており、弱いチャートです。TOPIXのほうが、もはや上昇トレンドは終了した、という体感にしっくりきます。

日経平均とTOPIX 20180903

米国株が強い中、日本株が下抜けするとは想定できませんが、上げ下げが繰り返されるごとに徐々に差が開いていく、と思われます。日本株に対しては、業績の中国依存度が高い銘柄を中心に、慎重な見方を維持します。

 

ドル円ですが、先週末に発表された8月28日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが8月21日時点の101,522枚から96,271枚へ小幅減少、円ロングが54,116枚から50,230枚へこちらも小幅減少となり、ネット円ショートは47,406枚から46,041枚へ微減となりました。両サイドともポジションが軽くなってきたことに加え、推計平均簿価は円ショートが111.20円、円ロングが110.36円とどちらも現値に近く、どちらの方向にも大きく動く状況ではありません。110-112円を中心とするレンジの継続と予想し、「110円近辺からは最大108円までの下落を想定して買い下がり、その後はこまめな利食い」の推奨を継続します。