止まらないどころか拡大する新興国通貨下落問題
今回の新興国通貨下落のけん引役であるトルコ・リラですが、8月10日の急落後、一時1ドル=7.00リラを越えるまで下落、その後トルコ中銀が様々な引き締め策を発表し、1ドル=6.00リラ近辺での小康状態が続いていました。しかし、9月3日に発表されたトルコのインフレ統計が予想を越える上昇だったことなどを受けて、再び1ドル=6.70リラ程度まで下落しています。インフレ統計の内容は、8月の消費者物価指数(CPI)が前年比+17.9%、生産者物価指数(PPI)が前年比+32.1%でした。PPIがCPIに先行することを考えると、今後もCPI上昇は加速すると思われます。利上げをしないことを公約に当選したエルドアン大統領ですが、この状況ではいずれ大幅な利上げに踏み切らざるを得ないでしょう。
昨日は南アフリカの4-6月期GDPが発表されましたが、年率-0.7%と1-3月期の年率-2.6%に続き2四半期連続でのマイナス成長となり、リセッション(景気後退期)入りしました。(リセッションの定義は、2四半期連続のGDPマイナス成長)それを受けて、南アフリカ・ランドは対ドルで3%の下落となり、引け値ベースでの安値更新となりました。(9月4日引け値1ドル=15.3442ランド、8月13日の日中安値1ドル=15.5517)インド・ルピーは連日の安値更新、ブラジル・レアルも最安値圏での推移となっており、インドネシア・ルピアは昨日最安値を更新した後、本日は当局の介入により通貨下落は止まっていますが株価指数は3%以上急落しており、経済規模の大きいそれらの国にまで悪影響が顕在化となれば、金融市場の大きな波乱要因になります。
これまでもご説明してきましたが、日本にとって最も影響力が高い新興国は中国です。今後発表予定の中国の重要経済指標の発表予定は以下になります。
9月7日:8月末の外貨準備高
9月8日:8月の貿易統計
9月10日:8月のCPIとPPI
9月14日:8月の小売売り上げと鉱工業生産