日本電産(6594)の業績
昨日引け後に、先日通期見通しの大幅下方修正を発表した日本電産(6594)が、4-12月期の業績発表を行ないました。4-12月期の売り上げは1兆1,543億円、営業利益は1,294億円でした。4-9月期の売り上げは7,776億円、営業利益は982億円でしたから、差し引きで算出すると10-12月期の売り上げは3767億円、営業利益は312億円(構造改革費用を足し戻すと426億円)となります。通期見通しは、売り上げが1兆4,500億円、営業利益が1,450億円なので、同様に差し引きで1-3月期見通しを算出すると、売り上げが2,957億円、営業利益が156億円(構造改革費用を足し戻すと281億円)となります。
構造改革費用を足し戻したベースで、1-3月期は10-12月期に対して、810億円減収、145億円営業減益との見通しですが、145÷810で求められる限界利益率は17.9%と、電子部品メーカーとしてはかなりの低水準です。なお10-12月期は7-9月期比で、157億円減収、87億円営業減益でしたので、限界利益率は87÷157で55.4%になり違和感ありません。普通に考えれば、810億円減収であれば400億円程度の減益要因となるはずですが、コスト削減を見込んでいるのか、あるいは売り上げの見積もりが慎重すぎるのか、どちらかでしょう。
自社株買いを合わせて発表したため、目先は株価は下支えされるでしょう。しかし発行株数の1.7%と小規模であり、早期に買い付けが終了するか、あるいは時間をかけて少しずつ買うことで株価インパクトが出ないか、いずれかです。昨日の決算説明会では、構造改革により将来売り上げ回復した場合に利益率が向上する対応をしていく方針が説明され、証券会社のアナリストは一様に「業績の底打ち時期は見えないものの、受注が正常化した際には業績の急回復が見込めるため中期ポジティブ・スタンスを継続」としています。
結論としては、株価は当面横ばい推移でしょう。幅広く保有されている銘柄で、新たな買い材料も無いので、株価上昇は見込めませんが、ファンド・マネージャーが日本電産を売り他の銘柄に入れ替える動きも予想できないからです。来期営業利益のコンセンサス予想は2,227億円とほとんど変わらずで、いずれ来期業績予想の切り下がりにより株価下落が予想されますが、少し時間がかかりそうです。