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2019年10月2日のマーケット・コメント

シカゴ筋ポジション-ドル円も米国債券もポジション縮小

 

先週末に発表された9月24日時点の、ドル円と米国10年国債先物のシカゴ筋ポジションのアップデートです。まずドル円ですが、円ショートは32,976枚、円ロングは45,759枚で差し引きのネット円ロングは12,783枚となっています。ネット円ロングは8月27日時点の33,607枚をピークに、9月3日27,682枚、9月10日32,591枚、9月17日23,862枚と推移してきており、2週連続の大幅減少です。円ショート、円ロングともに5万枚にも満たない水準で、ポジション整理によりドル円を動かす潜在的エネルギーは、上昇下落どちらの方向にも溜まっていない状況です。

 

次に米国10年国債先物ですが、ずっとネット・ショート(金利上昇にベット)での推移ですが、水準としては8月13日時点の414,346枚をピークに減少傾向が続いており、9月3日377,867枚、9月10日300,433枚、9月17日229,963枚、9月24日196,306枚となっています。この先物ショート・ポジションの平均簿価は、米国10年国債利回りで2.16%程度と推計され、現状水準では大幅な含み損を抱えていることになります。つまり、ポジション整理によるエネルギーは依然として債券上昇(金利低下)方向ですが、エネルギー量は8月のピーク比で半分以下まで減っている、という状況です。

 

今後の米国10年国債の利回り予想ですが、9月13日の強い小売売り上げ発表を受けて1.90%まで上昇した後は、低下傾向が続いています。昨日はISM潜像業指数が予想よりも弱かったことを受け、1.65%まで低下しました。しかし8月とは違い、9月18日FOMCを経て、過度な利下げ期待は修正されており、年内の利下げ織り込みが、現在の1回(10月30日または12月11日で利下げ)から再び2回(10月30日と12月11日の両方で利下げ)にならない限り、1.50%を割り込んで低下するとは想定できません。

 

ただトリッキーなことは、9月後半以降、それまでの米国10年国債利回りとドル円の相関が消失してきていることです。米国10年国債が直近ピークの1.90%をつけたときのドル円は108円台前半、利回りが1.65%まで低下した現在のドル円は107円台後半とほぼ横ばいです。8月に利回りが1.65%まで低下した時のドル円は106円程度でしたので、9月後半以降は明らかに相関が低下しています。考えられる背景としては、1.8月は利回りがどこまで低下するかわからない状況だったが、9月18日FOMCを経て過度な利下げ織り込みが修正され、もはや1.50%割れまで低下することは考えにくくなったこと、2.シカゴ筋ポジションが円ショート円ロング両サイドともに非常に少ないことが表しているように、値動きの悪いドル円が短期投資家の売買対象にならなくなってきたこと、が挙げられます。

 

結論としては、ドル円では大きな値幅が出ることは期待できない。もはや105円割れまでの下落は考えにくいため、もし106円近辺までの下落があれば買いだが、108円台に乗せたら利食い売り、です。その水準でも、キャリーが「払い」になるドル・ショートはお奨めしません。