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2019年10月28日のマーケット・コメント

ファナック(6954)業績発表

 

本日引け後にファナック(6954)が業績発表を行ないました。4-9月期実績営業利益は会社予想の431億円を上回る490億円となりましたが、会社は通期営業利益予想を713億円から691億円に小幅に下方修正しました。通期予想から上期実績を差し引いて下期営業利益予想を見ると、282億円から201億円への下方修正となります。会社予想の前提為替レートはドル円が100円、ユーロ円が115円ですが、当社の為替感応度はそれほど高くなく、営業利益変動幅はドル円1円で通期7億円、ユーロ円1円で通期6億円ですから、下期の為替を現状水準であるドル円109円、ユーロ円120円としても47億円の営業増益要因にすぎません。なお、通期営業利益予想のアナリスト・コンセンサスは1,026億円、最も弱気な予想が920億円です。

 

四半期ごとの受注を見ると、2018年7-9月期1,464億円、10-12月期1,372億円、2019年1-3月期1,407億円、4-6月期1,371億円、7-9月期1,234億円となっていますので、7-9月期受注は前年同期比16%減、前四半期比10%減です。前四半期比を地域別に見ると、中国(16%減)だけでなく、欧州(14%減)、中国以外のアジア(26%減)と、米国(1%減)と国内(3%減)以外の地域での落ち込みが大きくなっています。今回あえて小幅ながらも通期予想を下方修正したということは、足元でも受注の回復が見られない、と解釈できると考えます。下期回復どころか、下期に一層落ち込む見通しということです。

 

すでに業績発表を行なったFA関連同業の安川電機(6506)も、同様の受注動向と下期業績見通し(下期は上期よりも更に落ち込む)を示しており、FA関連業界全体が同様の状況と考えていいでしょう。ただ、安川電機(6506)の株価動向は、業績発表直後は下落したもののすぐに切り返し、現在では業績発表前を明確に上回る水準まで上昇しています。カラ売りの買い戻しが背景だと思われ、今日の日本株市場を見ても買い戻しで株価上昇している銘柄が散見されます。ファナックの明日以降の株価動向も微妙です。

 

先物の買い戻しもまだ継続している模様で、この買い戻し主導相場が終了するまでは、積極的な売り参戦は控えるべきだと考えますが、どの銘柄がどのような業績内容だったか忘れないようにして、逆業績相場(業績が悪い銘柄が売られる相場)に移行した際のカラ売り候補銘柄としておきましょう。今回の業績発表シーズンの途中のどこかで、逆業績相場への移行は起きるはずですので。