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2019年10月31日のマーケット・コメント

10月FOMC終了-「利下げ決定&利下げ打ち止め示唆」で予想通り

 

昨日米国でFOMCが終了し、今年3回目の利下げが決定されFFレートの誘導目標は1.50-1.75%に0.25%引き下げられました。声明では「景気拡大の維持に向け適切に行動する」という文言が削除され「FFレート誘導目標レンジの適切な道筋を精査する」という文言が加わり、次回12月11日のFOMCでは政策変更は行なわないことが示唆されました。またパウエル議長は記者会見で「利上げを行なうには、インフレ率が顕著に上昇し、それが持続することが必要だ」と述べ、再び利上げ路線に戻るためにはインフレ圧力の顕著な上昇が必要であり、そのハードルは高いことが示されました。

 

このFOMCを受けて米国市場の反応は、米国株小幅上昇、米国債券上昇(金利低下)、米ドル小幅下落となりました。今回のFOMCの内容は市場予想通りでしたが、利上げ路線に転換するハードルの高さが示されたことが、米国長期金利の低下に繋がった結果だといえます。これで今年年初から続いた、FRBの政策変更に対する思惑が市場変動材料になる局面は終了しました。今年年末限りのFFレート先物は1.555%で、市場も年内の利下げを見込んでいません。なお、2020年末限りのFFレート先物は1.295%なので、市場は依然として来年1回の利下げを見込んでいます。

 

ところで企業業績ですが、米国の企業業績の発表はほぼ終了し、総じて言うと予想よりもやや堅調という内容でした。一方、日本の企業業績発表は今週から本格化していますが、景気敏感業種を中心に予想以上の業績悪化が示されています。株価の反応は、業績発表初期は安川電機(6506)の様に、業績悪化は織り込み済みという買い戻し主導での株価上昇でしたが、業績発表をする企業数が増え、昨日今日は業績動向に素直な株価反応となっています。これまで3ヶ月間上昇が続いた半導体関連銘柄も、受注回復足踏みを受けて業績下方修正が無かったにもかかわらず、株価はピークアウトの反応となっています。

 

米国の金融政策に対する思惑が市場材料ではなくなり、残る市場材料はマクロ景気動向、企業業績動向と米中問題に絞られるでしょう。米中首脳会談を持ちたかったトランプ大統領ですが、会談の場になるはずだったチリでのAPECが、現地のデモによる混乱で中止になりました。「香港人権法案」の上院での採決も控えており、米中関係の更なる緊張緩和よりも米中対立の深刻化となる可能性が高いでしょう。日米とも株価調整局面入りする可能性が高く、9月10月の上昇率が高かった日本株は下落率が大きくなると思われます。

 

ドル円は、米国長期金利の大幅低下は考えにくいため、大きく円高ドル安進行するとは思えませんが、明らかに109円が重い展開であり、シカゴ筋ポジションもネット円ショートがやや積みあがってきていることもあり、107円割れ程度までの調整となる可能性が高いでしょう。