米雇用統計、シカゴ筋ポジションなど
先週金曜日に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数変化は事前予想の14.5万人増をやや下回る13.6万人増でしたが、8月の数値が13万人増から16.8万人増に修正されました。失業率は事前予想の3.7%を下回る3.5%、平均時給(前年比)は事前予想の3.2%増をやや下回る2.9%でしたが、総じて言うと内容は堅調なものでした。これを受けた米国市場の反応は、株上昇、債券高止まり横ばいとなりました。なお、金曜日の米国市場に関して一部メディアで「10月30日FOMCでの利下げ期待が高まったため」と解説されていますが、年末限りのFFレート先物はほぼ変わらずでしたので、その解説は不適当です。
先週は、ISM製造業指数、ADP雇用統計、ISM非製造業指数と、予想よりも弱い指標発表が続き、米国景気の先行き懸念から株下落、債券上昇(金利低下)となっていましたので、金曜日は本来なら株上昇、債券下落となるはずでした。その点で金曜日の米国市場の反応は「いいとこ取り」であり、いずれ株か債券が下落することで帳尻を合わせる可能性があるでしょう。今週の注目材料は米中貿易協議ですが、合意に向けて交渉が前進する可能性は低いと思われ、債券下落よりも株下落となる可能性が高いと思います。その時には日経平均は21,000円トライの動きになるでしょう。
ドル円は106-108円を中心とするボックス、という見方を維持します。先週末に発表された10月1日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、円ショートが9月24日時点の32,976枚から43,976枚へ大幅増加、円ロングも45,759枚から57,893枚へ大幅増加し、差し引きのネット円ロングは12,783枚から13,917枚となりました。なお、10月1日時点での推計簿価は、円ショートが108.58円、円ロングが108.20円です。
9月24日から10月1日は107円割れ水準から108円台半ばへの上昇、10月1日以降は106円台への下落だったことを考えると、9月24日から10月1日は、円ショート筋は評価損が減る中順張りで、円ロング筋は評価益が減る中逆張りで、それぞれポジションを増やし、10月1日以降は円ショート筋が損切りでのポジション縮小に迫られた、という状況だと思われます。つまり、円ショートのポジション整理(損切り)によるドル円下落エネルギーは、すでにかなり放出された一方、円ロングの整理(利食い)はあまり進んでいないと思われます。
つまり、もしもう一段下落して106円トライとなったら、そこは買い始めてよいと思います。ただし108円台に戻ったら売りです。米ドルも円も買われやすい通貨だという基本的な状況に変化をもたらす要因は見当たらず、割り切ってボックス内でのサヤ抜きに徹するのがストレス無いでしょう。