日本株は戻りを試す展開だが・・・
2月11日に米国で、予算案に関して共和党と民主党が合意し、トランプ大統領もその予算案に署名する見込みで、再度の政府機関閉鎖が回避できそうなことに加え、昨日はトランプ大統領が3月1日から予定されている2,000億ドルの中国製品に対する関税率の10%から25%への引き上げの延期の可能性を示唆する発言があったことを好感して、米国株主導で世界的に株価上昇しています。
日本株も2日連続の大幅上昇となり、日経平均はフシメの21,000円を越えてきました。ドル円が節目の110円を越えてきたことも支援材料になっています。個別銘柄の動きを見ると、1月のような買い戻し主導の上昇ではなく、業績モメンタムに素直に反応している印象です。すなわち、業績動向が「思っていたよりも良い銘柄」に加え、「思っていたほど悪くない銘柄」が買われ、「思っていたより悪い銘柄」は売られています。この2日間で業績発表を受けて買われた銘柄は、太陽誘電(6976)、ナブテスコ(6268)、堀場製作所(6856)など、売られた銘柄はブイテクノロジー(7717)、ヤマハ発動機(7272)などが挙げられます。
つまり、カラ売りの買い戻しは、想定通り1月31日でほぼ出尽くし、一部の投資家が業績モメンタムに注目して新規の買いを入れていると思われます。市場が織り込んでいるのは、
1.FRBは当面利上げを停止する。少なくとも3月20日FOMCでの利上げは見送られ、今年は1回の利上げもない可能性が高い。
2.米中は貿易問題では合意に至り、3月1日からの関税率引き上げは見送られる。
3.設備投資サイクルはまだ悪化が続いているものの、4-6月には底打ちする。
だと思われます。
1.に関してはもはやこれ以上のハト派シフトの余地は無く、3月FOMCで利上げがないとしても「利上げは一時停止であり中止したわけではない」というニュアンスが表明されれば、それは市場にとってはかなりネガティブでしょう。2.に関しても、それ以上ポジティブな織り込みが進む余地はないでしょう。知財分野で中国が妥協するとは思えず、トランプ政権は25%への引き上げを取りやめるのではなく、期限を2-3ヶ月延期する程度に留まるでしょう。それは中国経済への悪影響が加速することは避けられても、継続はします。それは3.に繋がる話ですが、4-6月に底打ちして年後半は回復する、という予想は希望的観測でしかなく、根拠は不明です。つまり、いずれもこれ以上の楽観となる余地はなく、次に変化が起こるとすれば、株の下落方向への材料となります。
とはいえ、ネガティブ方向への変化が起こるまでは、楽観が支配し戻りを試す展開が続く可能性は否定できません。日経平均はフシメの21,000円を越えたことで、次のフシメは75日移動平均線(現在21,198円)で、本日の動きを見ると明らかにその水準が意識されています。その次のフシメは、昨年12月高値から安値までの下落の3分の2戻しの21,449円ですが、過去大きな下落の後の戻りで3分の2戻しを達成した例は稀であることを考えると、75日線を越えて更に3分の2戻しを達成するのかは疑問ですが、決め付けることなく明らかなピークアウトの初動を待つべきでしょう。そこで本格的に売り参戦です。