1月FOMC議事録-市場の期待に満額回答
昨日米国で、1月30日FOMCの議事録が公表されました。FOMC当日に発表された声明文では「今後の利上げに辛抱強くなれる」と記述され、利上げの当面の見送りが示唆された一方、バランスシート(保有債券残高)縮小の今後の見通しについては記述が無かったため、市場はこの点に関する記述を期待していました。議事録では「ほぼすべての参加者が、当局保有資産の縮小を年内に停止する計画を、そう遠くない将来に発表するのが望ましいとの考えを示した」とされ、市場の期待に対しては満額回答だったといえます。
ただ、議事録発表を受けても、株、債券、為替ともに米国市場での反応は限定的でした。これは、議事録の内容は市場の期待通りでしたが、その期待は市場に完全に織り込まれ、期待はずれに終わるリスクを市場がまったく感じていなかった、ということが背景だと判断されます。FRBがこれ以上の市場支援材料を提供できる余地は無く、金融政策への期待感はもはや市場の上昇要因にはならなくなりました。一方で、利上げ姿勢の復活による市場の押し下げも当面無いでしょう。議事録では「今年後半の利上げに関しては意見が分かれた」とされており、利上げ復活があるとしても最も早くて9月と解釈されるからです。つまり、最も早くても6月会合で9月利上げを示唆であり、それまでに利上げ復活が示唆されることはないでしょう。
市場の次の注目材料は、米中貿易協議の行方でしょう。今日明日に今月2度目の米中の閣僚級会合があります。市場の織り込みは「今月中に合意に至るか、間に合わない場合は期限を60日延長して合意し、25%への引き上げは見送られる」だと思います。つまり、合意に至って25%への引き上げが見送られたとしても、それは市場の織り込みどおりで好材料出尽くしになりやすい状況だと考えられます。交渉決裂なら、もちろんネガティブ・サプライズでしょう。
昨日、ある証券会社のレポートで「ベアマーケット・ラリー(業績悪化で中期下落トレンドの途中の戻り相場)は、過去の平均で値幅は直近安値から15%、期間は2ヶ月から2ヵ月半」とありました。それを今回に当てはめると、日経平均の安値は昨年12月26日の18,949円でしたから、15%上昇は21,791円、2ヶ月から2ヵ月半は2月終わりから3月半ば、に相当します。違和感ありません。