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2019年2月25日のマーケット・コメント

米中貿易協議延長-「好材料出尽くし」は先送りされた

 

昨日まで今月2度目となる米中閣僚級貿易協議が行なわれていましたが、結局最終合意は3月中に米国で行なわれると見られる米中首脳会談まで持ち越しとなりました。トランプ大統領は、米国時間の昨晩にツイッターで「米中貿易協議で、知的財産権保護、技術移転、農業、サービス、為替その他の問題に関して、重要な構造問題でかなり漸進した」「こうした非常に生産的な協議の結果、3月1日に予定していた(合計2,000億ドルに対する10%から25%への)関税率引き上げを延期する」と書き込みました。

 

この決定は市場で事前に予想されていた内容であり、日本株は小幅上昇に留まり、個別銘柄を見ても特に中国関連株が上昇するというような動きは見られませんでした。米国株の時間外先物も小幅上昇に留まっていますが、中国株は5%を越える暴騰となっています。これはおそらく、米中合意に至れば中国政府が景気刺激策を打ち出す余裕が出てくる、との織り込みによるものと思われます。

 

日本株の個別銘柄で、売買代金上位で株価の上昇率が高い銘柄を挙げると、キーエンス(6861)+4.3%、日本電産(6594)+3.5%、SMC(6273)+3.6%と、製品競争力の高い大型優良株となっており、カラ売りの買い戻しではなく中長期資金(おそらく国内年金資金)の打診買いが入っていたことが伺えます。ただ現状は、業績モメンタムは明らかに下向きにもかかわらず、株価は相当戻った状況であり、今後買い上がる動きが継続するとは思えません。また今日の日本株の動きからはっきり言えることは、カラ売りの買い戻しは完全に終わった、ということであり、短期投資家のカラ売りの買い戻し主導の戻りも、もはや想定されなくなりました。

 

ただ、上値は重くなっても、すぐに大きく下落するとも思えません。トランプ大統領も、パウエル議長をはじめFRB高官も、昨年10-12月(特に12月)の米国株大幅下落の市場反応に恐れを成し、年明け以降の発言内容は市場に友好的なものとなっており、今後もそれは続くでしょう。また米中合意の先送りは「期待で買って事実で売る」というシナリオ(2月18日付コメント参照)になるとしても、「事実」が出てくる時期の先延ばし(「期待」の期間の延長)です。

 

米国のVIX指数は先週末に13.51まで低下し、過去5年間の平均値である14.4を下回ってきました。短期間で値幅が出る高ボラティリティー相場は一旦終了した可能性が高く、次の大きな値動きが出るまでは、戻りいっぱいまではじり高でその後も狭いレンジでの推移が続く、をメインシナリオにせざるを得ません。短期トレーディングで収益を上げるには好環境とは言えず、個別銘柄のカラ売りの収益化も少し時間がかかる覚悟で臨む必要があるでしょう。