株価は再び業績動向を反映した動きに変化
昨日、中国との貿易交渉を担当するライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「対中通商合意には、なお多くの作業が必要」「合意後も公約の履行を遵守しているか、確認を続ける難しい問題がある」と発言し、米中合意が早期に実現するという期待感に警鐘を鳴らしました。また、本日発表された中国の2月の製造業PMI(購買担当者指数)は、事前予想の49.5を下回る49.2で、中国製造業の経済活動減速が改めて確認されました。日本株の寄り前に発表された日本の1月の鉱工業生産指数も事前予想の-2.5%を下回る-3.7%でした。
これらを受けて、本日の日本株は景気敏感銘柄を主導に下落しています。業績悪化にもかかわらず、年初からカラ売りの買い戻しで株価が大きく上昇した銘柄群が、下落率が大きくなっており、カラ売りの買い戻しは完全に終了し、株価は業績動向に沿う動きに移行し始めた、と思われます。ただし、しばらくは昨年10-12月のような一気に下落する動きではなく、昨年で言えば4-6月のように、日経平均はボックス圏で推移する中で、業績悪化懸念のある銘柄の静かな下落が続く、という動きが想定されます。
ドル円は、昨日インドとパキスタンの軍事衝突を受けて、110.35円まで下落しましたが、調整は限定的で、米国長期金利上昇を受けて111円近辺まで戻っています。ドル円と日本株の相関が完全に消失した、ということが改めて確認されました。今後も、日本株とドル円のかつての相関(日本株とドル円が相互に反応しあうこと)が復活することはなさそうです。
ロシア疑惑をめぐる、トランプ大統領の元顧問弁護士コーエン氏の発言が、米国市場にどのようなインパクトを与えるのかは、今後見極める必要がありますが、米国株は年初からほぼ一貫して戻り続けたことを考えると、調整のきっかけになる可能性は高いでしょう。調整幅はそれほど大きくはならないと思われますが、もしそれが債務上限引き上げ合意の大きな障害になっていくと市場リスクは高まります。