米雇用統計-賃金インフレなき雇用拡大
先週金曜日に発表された米雇用統計ですが、非農業部門雇用者数変化は事前予想の16.5万人増を大きく上回る30.4万人増(12月分は31.2万人増から22.2万人に修正)、失業率は3.9%から4.0%に上昇、平均時給(前月比)は事前予想の0.3%を下回る0.1%でした。失業率の上昇は、政府部門の一部閉鎖の影響によるものでした。賃金インフレが起こっていない中での大幅な雇用拡大は、米国経済の底堅さを示すものであり、発表を受けて米国債券は下落(金利上昇)、米ドル上昇となりました。米国10年国債利回りは、発表を受けて2.63%から2.69%に急上昇しましたが、米国株は前日比横ばい圏でのもみ合いとなりました。
米国債券市場は強い内容の雇用統計に、素直に金利上昇(債券下落)で反応しましたが、米国株式市場は1月30日FOMCでの「ハト派シフト宣言」を信じ、利上げリスクを無視した格好です。ただ、日本株と同様に米国株の1月の反発の原動力は、カラ売りの買い戻しだったと思われ、そろそろ一巡感が出る可能性の高い状況だと思われます。
日経平均は21,000円、ドル円は110円を明らかに抵抗線と意識した動きが続いていますが、業績下方修正が相次ぎ来期業績の不安を払拭できないことに加え、米国株の反落リスクも意識されている可能性があるでしょう。下方修正を受けても株価が下落するどころか上昇する銘柄が散見されますが、これは業績悪化を株価が織り込んだのではなく、カラ売りの買い戻し需要が残っているに過ぎません。
買い戻し主導の戻り相場が、当初私が想定していたよりも長く継続していることは事実ですが、業績が明確にピークアウトし、来期は減益となる可能性が非常に高く、業績モメンタムの底打ち時期が見通せない、現在の状況では、買い戻し以外に積極的に日本株を買ってくる主体は存在せず、買い戻し主導の戻り相場は早晩終了するはずです。個別業績の発表が買い戻しのきっかけになっているとしても、2月14日でほぼすべての業績発表が終了します。
業績悪化が顕在化し始め、業績警戒感が高まっている時期は、途中までは悪材料(下方修正)に対して逆の反応をするが、途中から先行きの業績懸念を警戒し始めることにより、悪材料に素直な反応に変わることがあります。今回の業績発表時期で、そうなるかどうかはわかりませんが、米国株の相場付きに変化が出るとわかりやすいでしょう。