久しぶりにシカゴ筋ポジション
昨年年末以降、データ更新が遅れていた(理由は不明です)シカゴ筋ポジションですが、ようやく更新が正常ペースに戻りました。直近時点となる2月26日時点では、円ショートが67,019枚、円ロングが27,365枚、差し引きのネット円ショートが39,654枚となっています。昨年12月25日時点では、円ショート132,370枚、円ロング33,281枚、ネット円ショート99,089枚でしたが、年初のフラッシュ・クラッシュを経て、1月8日時点で円ショート61,314枚、円ロング42,727枚と、円ショート激減、円ロング増加しました。しかし円高進行は続かず、円ロングはすぐにもとの水準に戻り、円ショートはいわゆる「やれやれ」のポジションクローズにより更に減少となった格好です。
2月11日に明確に110円を越えた以降は、円ショート、円ロングともに10,000枚程度増加し、円ショートは順張り、円ロングは逆張りの対応をしています。ただ今年2月前半を除くと、円ショートの67,019枚という水準は2018年6月以来の、円ロングの27,365枚という水準は2017年2月以来の低水準であり、両サイドともに大きく動くエネルギーの少ない状態です。
市場では、FRBの利上げ停止(円安ドル高進行抑制要因)、世界的な景況感の悪化から米国経済も成長鈍化(ドル安要因)、日銀の追加緩和策の限界(現状以上の大きな追加緩和策がない)(円高進行抑止策がない)などから、今年は円高ドル安進行を予想する意見が多いようです。しかし、FRBの利上げ停止については、既に市場では「今年の利上げはゼロ回」が織り込まれており、米国経済成長が多少鈍化しても年内に利下げをしなければならない事態は想定できません。もちろん、日銀が引き締め方向に政策転換することは考えられず、円高ドル安が継続することは想定できません。
またこれまでもご説明している通り、日米の短期金利差が2.5%まで拡大したことで、キャリー(保有することによる損益)は円ショート(ドルロング)は2.5%の「収益」、円ロング(ドルショート)は2.5%の「費用」となります。円ロング(ドルショート)を長期間継続することに対して、抵抗感を感じるのには十分で、円ロング・ポジションの推移がそれを現しています。
昨年末にそれまで明確な抵抗線だった110円を明確に割り込み、フラッシュ・クラッシュで一時110円が大きく遠のきましたが、2月に110円を明確に回復し、110円が再び抵抗線として機能することが想定されますが、上値も2018年(10月)の高値や2017年4月以降(5月、7月11月)の高値水準である114円台半ばを上抜けることは想定できません。結論としては、
1.ドル円は、基本的に上にも下にも大きく動く状況ではない。当面の想定レンジは110-114円。もし110円割れがあっても下落は限定的(最大でも107円程度)で、滞留期間は短い。
2.110円トライの動きがあったら買う。
3.110円を割れたら間隔をある程度あけて買い下がる。
4.114円に迫ったら減らす。(ドルロングのキャリーは「収益」なので、すべて売るのではなく、ある程度は保有を続ける。)