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2019年4月16日のマーケット・コメント

機関投資家の業種入れ替え(業種ベット解消)はようやく一巡か

 

4月4日付のコメントでご説明しましたが、4月1、2、3日は景気敏感業種が買われ、内需・ディフェンシブ業種が売られるという、明確な傾向が見られました。この背景は、年金などの中長期機関投資家が、アンダーウェイトにしていた景気敏感業種をニュートラルに引き上げ(売買行為としては景気敏感業種を買う)、オーバーウェイトにしていた内需・ディフェンシブ業種をニュートラルに引き下げ(売買行為としては内需・ディフェンシブ業種を売る)という、業種ベットの解消だと思われます。

 

想定される経緯としては、昨年10-12月に世界的な景気減速懸念が台頭したことを受け、景気敏感業種をアンダーウェイトに引き下げ、内需・ディフェンシブ業種をオーバーウェイトに引き上げたものの、1月は短期投資家のカラ売りの買い戻し主導で景気敏感業種の株価が大きく戻り、2、3月も株価下落せず横ばいの動きとなりました。4月に入り年度が替わったこともあり、中国製造業PMIの上ブレを受け、業種ベットの解消に動いた、ということだと思われます。一旦、その業種ベット解消の動きは一巡したかと思われましたが、中国貿易統計での輸出の上ブレを受けて、昨日再び同様の動きとなりました。今日は小幅ながら、景気敏感業種が売られ、内需・ディフェンシブ業種(特に通信)が買われていることから、昨日で業種ベット解消の動きは完全に一巡した可能性が高い、と考えられます。

 

景気敏感業種の株価は、昨年12月に業績懸念から大幅に下落しましたが、1月のカラ売りの買い戻し、今月の業種ベット解消という、ともにリスク解消を目的とする、いわば需給優先の行為により、12月に下落する前の株価を上回る株価まで戻っている銘柄が散見されます。今期に想定される業績では、現状の株価は極めて割高であり、この水準から積極的に買う(リスク解消ではなくリスクを取る買い)投資家の存在は想定できません。その典型例が安川電機(6506)ですが、先週発表された業績内容は「受注大幅減少、今期減収減益見通し」であり、楽観的と思われる会社予想EPSをベースにしても今期予想PERは30倍です。

 

来週から業績発表が本格化しますが、もはやリスク解消の買いは入らない状態にあると思われることから、今期の業績悪化に素直に株価下落するという反応に変化すると予想されます。まずは、4月23日発表予定の日本電産(6594)、24日発表予定のファナック(6954)の業績見通しと株価反応に注目です。