ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2019年4月22日のマーケット・コメント

島精機の下方修正に対する反応-市場は前期実績ではなく今期見通しに注目

 

先週金曜日の引け後に、島精機(6222)が前期実績業績の下方修正を発表しました。前期営業利益見通しは、昨年10月24日に160億円から80億円に下方修正されていましたが、今回それを更に43億円に下方修正しました。営業利益を四半期ごとに見ると、4-6月期33億円、7-9月期10億円、10-12月期13億円、1-3月期13億円の赤字となり、業績モメンタムの悪化が鮮明です。

 

発表を受けた本日の株価反応は、売り気配で始まり寄りでは9.2%下落となったものの、そこからじりじりと値を戻し、結局1.7%下落で終わりました。アナリストのカバー数はあまり多くない銘柄ですが、下方修正を受けて唯一コメントを出した、ゴールドマン・サックスのアナリストは、来期大幅増益シナリオを維持していることから、それに対する期待で押し目買いが入ったと思われます。この島精機に対する株価反応で、市場は前期実績がどんなに悪くてももはや興味が無く、今期業績見通しに完全にフォーカスしていることが明らかです。島精機の場合は5月8日に発表される今期の会社予想業績見通しに注目されるということです。(GSの予想を大きく下回る、と私は考えています。)

 

安寄り後買われたもう一つの背景は、これまでもご説明してきた、中長期投資家による業種リバランスにより、今月に入ってから景気敏感銘柄が買われ、内需・ディフェンシブ銘柄が売られてきたという流れでしょう。先週も月曜日、水曜日、金曜日にその現象が強く見られましたが、本日は市場全体としてはむしろ逆(景気敏感売り、内需・ディフェンシブ買い)の反応となっています。

 

前回のコメントでもご説明しましたが、今月見られる業種入れ替えの背景は、10-12月期に景気敏感業種をアンダーウェイト、内需・ディフェンシブ業種をオーバーウェイトにしたが、それが1-3月期には裏目に出たことを受け、その業種ベット(リスク)を解消に来ているということが背景です。リスクの解消という行為には2つの特徴があります。株価を気にしないことと時間をかけないことです。株価を気にしないで行なった結果が、昨年10月に業績悪化を織り込み始めて株価下落が始まった水準以上に株価が戻っている銘柄が散見されることです。おそらく、時間をかけないで行なった結果が、先週までで業種入れ替えが終了したということだと思います。

 

リスクの解消は10連休前までに終わらせよう、さらに主要企業の業績発表が始まるまでには終わらせよう、ということで、先週までに終わらせた、ということは全く違和感がありません。今後は、明日の日本電産(6594)から始まる業績発表で、今期の見通しの強弱により株価動向は個別色が強まっていくことが想定されます。