今月の日本株は4月とは逆の業種入れ替え-配分変更の動きはまだない
4月は月初から第3週まで「内需・ディフェンシブ売り、景気敏感業種買い」という業種入れ替えが断続的に続きました。この背景は、昨年10-12月に「内需・ディフェンシブ売り、景気敏感業種買い」を行ない、内需・ディフェンシブをオーバーウェイト、景気敏感業種をアンダーウェイトとした年金などの中長期資金が、1-3月にその業種ベットが裏目に出たことを受けて、4月に入ってからその業種ベットを解消しに来たことが背景にあると思われることは以前ご説明しました。(4月16日付コメント参照)
今月は、明らかに4月とは逆の業種入れ替えが行なわれています。月初から本日までのTOPIXの騰落率は4.8%下落ですが、33業種ごとに見ると、パフォーマンスが良い業種は、不動産(3.0%上昇)、サービス業(0.5%上昇)、情報・通信業(0.2%上昇)、陸運業(0.1%上昇)、その他製品(1.0%下落)、保険業(1.5%下落)、食料品(1.5%下落)、薬品業(2.2%下落)と、内需・ディフェンシブ業種がずらりと並んでいます。一方でパフォーマンスの悪い業種は、海運業(13.5%下落)、鉄鋼(11.4%下落)、非鉄(10.9%下落)、鉱業(10.9%下落)、機械(10.1%下落)、金属製品(10.0%下落)、電気機器(9.0%下落)と、景気敏感業種がずらりと並んでいます。
この背景は多くの景気敏感業種の業績発表内容がさえない内容だった事に加え、ゴールデンウィーク明けに、米国による2,000億ドルの中国製品に対する関税比率引き上げの動きを受けて、世界的に景況感が悪化したこと、さらにファーウェイと米国企業の取引を事実上禁止する措置を受け、中長期資金が10-12月と同様に、内需・ディフェンシブをオーバーウェイト、景気敏感業種をアンダーウェイトにしてきていることだと思われます。
つまり、ファンドマネージャーが、景気減速による業績悪化に備え、銘柄入れ替えをしている、ということであり、昨年12月に見られたような、アセットアロケーターが株式全体への配分比率を引き下げることにより、保有銘柄すべてを部分売却している動きではない、ということです。おそらく、6月末のG20と合わせて開催される米中首脳会談までは、アセットアロケーターは様子見を続けると思われますが、会談が不調に終わり、さらに4-6月の業績が予想以上に悪く先行きの回復感もない、という状況になれば株式全体の配分比率削減に動いてくると思われます。
結論としては、6月末までは、日経平均やTOPIXは横ばいないしは緩やかな下落で、景気敏感業種が売られ、内需・ディフェンシブ業種が買われる傾向が続くと予想され、7月から8月は株式全体の削減の動きにより、業種間の騰落率の格差が少ない状態で、日経平均やTOPIXが大幅に下落する、と予想されます。当面は先物での売買よりも、株価調整の足りない中国関連を中心に、個別銘柄のカラ売りが効率的、ということです。