ドル円も株も当面のレンジの下限を確認か
先週末に訪日していたトランプ大統領が日本を去る際に、インタビューに応じて「米国はまだ中国と貿易交渉合意する用意が出来ていない」と発言したことをきっかけに、早期の米中合意期待が後退し、米国株は火曜日水曜日に大幅続落となりました。(月曜日は休場)景況感の悪化を受けて、米国10年国債利回りは一時2.21%まで低下し(昨日のNY引けは2.26%)、2.5%から年内0.25%の1回の利下げを完全に織り込む水準となりました。
米国株ですが、S&P500の引けは2,783とフシメの2,800は下回りましたが、200日移動平均線(現在2,776)はかろうじてキープし、3月8日の直近安値2,722は下回っていません。日経平均先物も昨日のイブニングで一時20,720円と、5月14日の安値20,750円をわずかではありますが下回りました。しかし、米国株安値に対応する3月11日の安値20,680円はキープした形で、現在は20,900円近辺での推移と、21,000円割れで下げ渋る展開となっています。
ドル円は、昨日東京時間に一時109.15円まで下落し、NY時間にも一時109.19円まで再び下落しましたが、109円台後半に戻してきています。中国がレアアースの輸出規制を実行するなど、米中貿易戦争の更なる激化がない限り、米国金利も日米株もドル円も当面のレンジの下限が確認された可能性が高いと考えます。ただし、景況感が改善することも当面想定できず、上値余地も限られるでしょう。当面の上値のイメージはいずれも75日移動平均線近辺となる、ドル円で111円、日経平均で21,500円、S&P500で2,850です。
G20が開催される6月末まで(少なくともG20に向けて新たな動きが出てくるまで)は、ドル円は109-111円、日経平均は20,700-21,500円という狭いレンジでの推移をメインシナリオとします。更なる米中対立激化などで、日米株が3月安値を下回ってくるようであれば、レンジの下限を見直す必要が出てきますが、もしそうなったとしてもドル円に関しては、米国長期金利の更なる大幅低下は想定できないことに加え、ポジション整理が相当進んでいることから、109円を大きく下回る可能性は限定的であり、もし109円割れがあったとしても、その滞留時間は極めて短期間になるでしょう。