トランプ政権のメキシコ関税発表の狙いは?
東京時間の午前8時30分頃に、トランプ大統領が突然6月10日からすべてのメキシコ製品に5%の関税を課す、と発言し、米国株先物は急落、ドル円も急落し、本日の日本株も急落となり、昨日のコメントでレンジの下限とした水準を下回りました。ただ、対中政策とは違い、対メキシコ関税は激化することなく終結すると考えられ、終結が見えれば株もドル円も元のレンジに戻ると思われます。
ここで重要なのは、新たな貿易交渉が進行中のメキシコを相手に、なぜ突然関税を課すことを表明したと考えられるか、です。トランプ大統領は「不法移民がメキシコを通って米国に流入するのが止まるまで」関税を続けるとし、さらに「不法移民の問題が解決されるまで関税は段階的に引き上げられ、解決すれば撤回する」と発言しています。中国とは違い、米国にとってメキシコは叩き潰さなければならない相手ではありません。狙いは明らかだと思います。
ずばりそれは「メキシコ国境に建設予定の壁の建設費用をメキシコにも負担させること」だと思います。関税は6月10日に5%、7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げると発表されており、これはまさにメキシコに資金を出させるための脅迫でしょう。
関税措置の発表を受けて、メキシコ政府側はすぐに米国に出向き、意向を確認することを表明しています。メキシコ政府としては、トランプ政権の要求どおりに、壁建設の費用の一部を負担することで、関税撤廃を図る以外の選択肢はないでしょう。最も早ければ6月10日を迎える前に、メキシコが資金負担することで関税撤廃となると思われます。いつ市場がその点を織り込み始めるかですが、そう時間はかからないでしょう。108円台のドル円は、素直に絶好の買い場と捉えるべきで、日本株の先物もトレーディング・バイだと思います。