米国市場は株も債券も好材料を最大限に織り込み-日本株は売り第1弾を
昨日、米中首脳が電話会談を行ない、ともにG20の際に首脳会談を行なうことを表明しました。これを受けて、米中貿易交渉再開期待から米国株は大幅上昇しました。一方で、FRBによる利下げ期待は根強く、米国10年国債利回りは2.06%に低下し、年末限りのFFレート先物は1.805%と、依然として年内2回以上の利下げを織り込んでいます。つまり、株と債券は、それぞれが好材料を最大限に織り込んだ状態にあり、更に言うとそのそれぞれは整合性の取れない状態にあります。
言うまでもなく、目先の重要イベントは本日のFOMCと月末のG20です。FOMCに対する市場の期待の中心的内容は「今回での利下げ決定はないが、次回7月31日の利下げを強く示唆する」だと思われます。具体的には、今年に入って使われてきた「金利変更に対しては辛抱強く(patient)対応する」という文言が削除され、米国経済のリスクは下方にある(金利変更するとすれば次は利下げ)という表現が加わる、というものです。今回のFOMCの内容がその期待通りになる可能性はありますが、それ以上になる可能性はないでしょう。逆に期待に反して、パウエル議長が6月4日に行なった講演での「FRBは状況に応じて適切な対応を取る」という表現が維持され、市場期待に届かない可能性があります。
次に米中首脳会談ですが、ロス商務長官が「G20の際に米中首脳会談が開催されても、重要な通商合意がなされる可能性は低い」「合意に向けたスケジュール的なものが決められる可能性はある」と発言しており、市場の期待は前回のコメントでもご説明した、
「習主席は、予定通りG20に出席し米中首脳会談に臨むが、合意に向けた交渉の継続の意志を確認するにとどめ、具体的内容は引き続き閣僚級会合で詰め、合意が見えた段階で訪米し、もう一度米中首脳会談を持つことを約束する。この場合は、トランプ政権が交渉の期限を求めると思われ、期限までは関税発動は猶予される」
だと思われます。こちらも、市場期待通りになる可能性はありますが、それ以上になる可能性はなく、スケジュールでの折り合いが付かない、直前に習主席が体調不良で欠席、など市場期待に届かない可能性があります。
つまり、現状の市場はFOMCと米中首脳会談という2つの重要イベントに関して、好材料を最大限に織り込んだ状態で、イベントを受けて市場が更に上昇する余地はないでしょう。期待に届かなければ失望から下落すると思われますが、期待通りでも材料出尽くしで下落する可能性もあり、本日は日本株のカラ売り第1弾を入れるべきと考えます。