6月FOMC終了-市場の期待通りの内容
昨日FOMCが終了し、内容が発表されました。利下げは決定されませんでしたが、注目の「辛抱強く(patient)」という文言は削除された上で「インフレ見通しをめぐる不確実性が高まった。経済見通しに関する今後の情報が示唆するものを注視し、目標とする2%近辺のインフレ率の維持に向けて適切に行動する。」とされました。7月31日の次回会合での利下げ予告というほど強い表現ではありませんが、次に政策変更が必要となる場合は利上げではなく利下げだと考えている、という内容であり、ほぼ市場の期待通りだったといえます。
FOMC参加者17人による将来のFFレート予測分布図、いわゆるドット・チャートですが、今年年内の金利変更について3月会合時は、11人が金利変更なし、4人が利上げ1回、2人が利上げ2回でした。それが今回は、7人が利下げ2回、1人が利下げ1回、8人が金利変更無し、1人が利上げ1回と、大幅に下方シフトし、これもほぼ市場の期待通りだったといえるでしょう。
FOMCの発表を受けて、米国株、米国債券ともに小幅上昇し、米国10年国債利回りは2.02%と今年最低の水準まで低下しました。米ドルは下落し、ドル円は108円の攻防となっています。日経平均は一時21,465円まで上昇し、5月20日の戻り高値21,430円や75日線の21,432円を越えましたが、ドル円が低迷していることや米国株の上昇余地が限定的になったことなどを考えると、原状水準からの上値余地は限定的だと思われます。日本株のカラ売り第2弾を入れていいでしょう。
もっとも、次の重要イベントであるG20と米中首脳会談までは、大きく下落するとも考えられず、それまでは21,000円台前半でのもみ合いとなる可能性が高そうです。ただ、今となっては可能性は低くなったと思いますが、もし何らかの理由で米中首脳会談が取りやめになれば大きなネガティブ・サプライズになります。値幅のリスクが限定的であれば、時間的に少し早めにポジションを取るのは悪くないと考えます。
ドル円ですが、東京市場で急速に円高が進み、一時107.55円まで下落しています。この背景は明らかに日本の短期投資家(主にF/Xを使っている個人投資家)の、損切りの逆指し値が次々にヒットしたことだと思われますが、言葉を変えると、整理されるべきポジションの整理が進んでいる、ということです。年内2回の利下げを織り込んだとしても、日米金利差は2.5%が2.0%になるだけで、金利差としては十分に大きい状態は続きます。FOMCが終了し、目先これ以上の円高材料はないため、今後は緩やかな上昇に転換し、少なくとも110円手前までは戻ると考えます。