ドル円107円割れ-日本の短期投資家の最後のポジション整理となるか
6月20日21日に続き、本日も東京市場が始まり午前10時ごろからドル円の下落が始まり、14時20分現在で107円割れでの推移となっています。米国10年国債利回りが2%割れまで低下、中国株が大幅下落など、リスクオフによるドル円下落の要因はあるものの、やはり一番の背景は日本の短期投資家のドル買いポジションの整理がまだ終わっていなかった、ということに尽きるでしょう。
CFTC(全米先物協会)が集計、発表してくれている、いわゆるシカゴ筋ポジションに相当するデータが、日本のF/X業者に関しては存在しないので、個別業者のデータを参考にするしかありません。個別業者で売買比率ではなくポジション状況を公開しているオアンダで見ると、ドルロング約60%、ドルショート約40%(本日時点)、外為ドットコムで見るとドルロング75%、ドルショート25%(6月24日時点)となっています。これだけを見ると、まだ日本の短期投資家のドルロング・ポジションの整理は終わっていない可能性が高そうです。6月21日付けコメントでご説明したように、短期的には明確な底打ち反転を待つしかありません。明確な底打ち反転にきっかけになりそうなイベントを列挙すると、今週末のG20、7月1日の米製造業ISM指数、7月5日米雇用統計となります。
そもそもFRBの利下げ観測ですが、市場では7月31日のFOMCでは確実に利下げが行なわれることが織り込まれ、0.25%になるか一気に0.50%になるかが論点になっている状況です。しかし冷静に考えると、米国株は最高値圏であり、米国経済は以前ほどの力強さはなくなったという程度の状態で、明確に減速しているというほどの状態からは程遠い状況です。12月末限りのFFレート先物は、昨日時点で1.62%まで低下しており、これはFFレートスポットの2.365%から0.745%の利下げを織り込んでいます。1回の利下げが0.25%ならば完全に3回の利下げです。
これは行き過ぎた織り込みだと思います。現在のFFレート誘導目標は2.25%-2.50%ですから、マイナス金利政策を導入しない限り、利下げ余地は2.25%、1回の利下げが0.25%だとすれば10回分しかない、限られたカードです。市場にサプライズを与えないために、7月ないしは7月に次回利下げを予告して9月に、0.25%の予防的利下げを行なう可能性は高いと思いますが、それ以降はその後の状況次第でしょう。米国経済の景況感悪化が進行しなければ、更なる利下げは見送られると考えるのが自然です。
FFレート先物も、米国10年国債利回りも、現状水準が当面の最低値で、いずれある程度の修正が図られ、それとともにドル円も戻ることが想定されます。