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2019年7月1日のマーケット・コメント

G20&米中首脳会談終了-日本株は典型的な買戻し相場

 

先週末にG20と米中首脳会談が終了し、会談では予想通りお互いが交渉継続の意志を確認、3,000億ドルに対する関税発動は猶予となりました。予想外だったのは、トランプ大統領が、米国の安全保障にとって問題にならない範囲で、ファーウェイとの取引を認め、製品販売の再開を認める、と発言したことでした。取引が解禁されるにあたり、具体的な品目は発表されていませんが、常識的に考えれば、通信の基地局などインフラはダメだが、携帯電話などの端末はOK、と解釈されます。

 

それら先週末の動きを受けて本日の日本市場では、ドル円は108円台に上昇、日経平均は大幅上昇となりました。上昇を牽引したのは、ファーウェイ関連と見なされている電子部品銘柄と半導体関連銘柄でした。なかでもカラ売り報告上位の太陽誘電(6976)は、出来高を伴って14.7%上昇と突出した上昇となりました。他にもカラ売り報告上位銘柄で大幅上昇する銘柄が散見されました。全体の売買代金は2兆2,000億円に留まり、日経平均やTOPIXが2%以上の大幅上昇となった割には、売買代金は盛り上がっておらず、市場全体的に買い戻し主導の印象です。

 

以前から折に触れてご説明していますが、買い戻し(リスクの解消)は「株価を気にせず短期間で」行なう行為です。特に今回は米中首脳会談という非常に明解なきっかけを受けての行為なので、買い戻し相場は世界的に今日1日で一巡する可能性が高いと考えられます。ただ、イラン情勢緊迫化など突発的リスク要因を除くと、7月後半の企業業績発表までは大きな材料がないため、買い戻し主導の上昇が落ち着いても、すぐに下落に転じるというよりはしばらくもみ合う展開の可能性が高そうです。

 

ドル円の上昇も買い戻し主導である可能性が高いと思われます。ドル円との相関が現在のところ最も高い米国10年国債利回りは、2.01%から2.03%までの上昇にとどまっており、また年末限りのFFレート先物も1.705%から1.745%までの上昇にとどまっています。米中首脳会談を受けても、債券市場では利下げの織り込みにほとんど変化がなく、日米金利差拡大という支援材料がなければ、ドル円の戻りは限定的になるでしょう。市場が織り込む年内の利下げ回数が、現在の3回から2回に変わる動きがない限り、目先のフシメである6月12日の高値108.80円を越えるのは難しい印象です。

 

逆に、3回から2回の動きがあれば、110円を回復するでしょう。ただ市場の織り込みが3回から2回に変化するためには、今月発表の主要経済指標に力強さが戻る必要があります。6月26日付のコメントで「利下げが7月か9月かは、おそらくG20での米中首脳会談で3,000億ドルの中国製品に対する追加関税が発動されるかどうか、が決め手となると思われます。ISM指数や雇用統計などの経済指標が決め手ではないでしょう。」6月27日付のコメントで「3,000億ドルの関税出動が猶予された場合は、7月に米国株の大幅下落がない限り、7月31日の利下げ決定はないのではないか、と私は思います。ただ7月31日まではその正答は判明しないため、しばらくは「7月31日に0.25%の予防的利下げ決定」の織り込みのままの市場推移となるでしょう。」とご説明しました。しかし、どうやら市場の織り込みが変化するためには、ISM指数や雇用統計が重要な様子です。