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2019年7月17日のマーケット・コメント

7月31日FOMCで0.25%の利上げが規定路線に

 

昨日米国で発表された、6月の小売売り上げ(前月比)は事前予想の0.2%増を上回る0.4%増でした。これを受けて米国10年国債利回りは、2.09%から一時2.14%まで上昇しましたが、その後パウエルFRB議長が「先行きの不確実性が高い中で、FRBは適切に行動する」と発言し、2.10%に低下しました。月曜日には主要3指数すべてが史上最高値を更新した米国株は、昨日は小幅下落となりました。

 

雇用統計に続き小売売り上げも強い数字でしたが、パウエル議長は7月31日FOMCに向けて「行動する」というメッセージを発信し続けており、利上げ決定は確実視されます。一方で、利下げ幅は0.50%の可能性はなく、0.25%だと思われます。8月限りのFFレート先物は2.08%で、昨日の実効FFレートの2.40%と比較すると0.32%の利下げ幅を織り込んでいますが、これは0.25%に収斂していくと思われます。

 

年末限りのFFレート先物は1.755%で、年内に0.645%の利下げ幅を織り込んでいます。こちらは8月以降の経済情勢や金融市場次第で、0.75%に向けて上昇も0.50%に向けて低下もありえるでしょう。ただ、以前「予防的利下げ」を合計0.75%行なった1998年当時とは金利水準が大きく異なり、現在の金利水準が低水準で利下げ可能な利幅が限られることを考えると、必要に迫られない限り合計0.50%で済ませたいと考えているはずです。

 

7月31日以降、年内のFOMCは9月18日、10月30日、12月11日が予定されていますが、メイン・シナリオとしては9月、10月は利下げ見送り、12月は状況次第で利下げ決定と予想します。リスク・シナリオとしては8月以降に米国株が大幅下落、それを受けて9月にも利下げ決定とします。メイン・シナリオ通りに行けば、米国株は高値もみ合いないしは小幅な下落、米国10年国債利回りは2.2-2.4%程度に上昇、ドル円は110円台回復を予想します。

 

リスク・シナリオでは、米国10年国債利回りは2.0%割れまで低下を予想しますが、ドル円は直近安値(6月25日)の106.78円を割り込むことはない、と予想します。シカゴ筋ポジションは、ネット円ショートが7月2日時点で1,227枚、7月9日時点で3,651枚と完全に整理された状態にあるからです。また、円ロングは6月11日時点の20,786枚から増加し続け、7月9日時点では35,346枚となっています。キャリー(保有することによる損益)が「払い」になる円ロングは、損益的な観点からも心理的な観点からも長く持ち続けたくないはずで、できれば早くポジションを閉じたいと考えているはずです。7月31日FOMCまでは利下げ決定と更なるハト派シフトを期待して円ロング・ポジションを引っ張るかもしれませんが、それ以降は何らかのきっかけで円ロングの売りが入り、ドル円の押し上げ要因になりやすいと考えられます。

 

日本株ですが、ドル円との相関はほぼ完全に消失し、米国株の上昇にも追随できない状況となっています。その背景は業績懸念が根強いためだと思われますが、7月24日から本格的に始まる企業業績発表を受けて、業績懸念は更に高まることが想定されます。米国株が上昇しても日本株は上昇せず、米国株が下落すれば日本株はそれ以上に下落する、という展開を想定します。