利下げ幅は0.25%か0.50%か-日替わりで揺れる市場の織り込み
先週木曜日には、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が「経済に危うい兆候が出てきたら、中央銀行は速やかに行動する必要がある」と述べたことを受け、市場は0.50%の利下げ幅の織り込みが進みました。しかし、先週金曜日にはウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が「次回会合のことを意味したのではない」と火消し発言を行ったほか、他の複数の連銀総裁から「利下げ幅は0.25%が妥当」との発言があり、0.50%の織り込みは後退しました。8月限りのFFレート先物が織り込む利下げ幅は、0.42%から0.31%に低下し、米国10年国債利回りは2.02%から2.06%に上昇、米国株は小幅下落、米ドルは反発、ドル円は小幅反発となりました。
今週からFOMCに向けて、FOMC関係者が発言を控える「クワイエット・ピリオド」となるため、利下げ幅に関する発言はなくなります。また7月31日まで、米国重要経済指標の発表は7月26日の4-6月期GDPくらいしかありませんので、利下げ幅に関する市場の織り込みがFOMCまでに大きく変化することはないでしょう。つまり、利下げ幅の織り込みは0.25%に収斂していくと思われ、現状水準から金利は若干上昇、米ドルも若干上昇となる可能性が高いと思われます。
ドル円は今月中に108円台は回復するが、直近高値108.99円を上抜くのはFOMC後と見ます。なお、先週末に発表された7月16日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)は、7月9日時点から円ショートがやや増加、円ロングがやや減少し、差し引きのネット円ショートは3,651枚から11,380枚に増加しています。ただ、0.50%の利下げ幅を織り込み、ドル円が先週木曜日から金曜日に108円台前半から107円台前半に下落した際に、そのポジションは整理され、ネット円ショートは再びゼロに近い水準に減少していると想定されます。
米国金利やドル円が大きく動かないと想定される中、日米ともに株式市場は今後発表が続く企業業績に左右される展開となるでしょう。日本では7月24日から業績発表が本格的に始まりますが、今月中は個別銘柄の動きに留まり、日経平均は21,000-21,500円のレンジでのもみ合い、本格下落はFOMC終了後の8月、という見方を維持します。