やはり買い戻しは月曜日1日で終了-目先はレンジ相場か
前回のコメントで予想したとおり、日本株の買い戻しは月曜日で一巡し、昨日は小動き、本日はドル円下落もあって、月曜日と逆の動き(月曜日に株価上昇した銘柄が売られる動き)となっています。売買代金は盛り上がらず、短期投資家主導の状態が続いており、新たな材料が出ない限り目先はボックス圏の動きとなる可能性が高いでしょう。日経平均でいえば、想定されるボックス圏は、下値はフシメとして機能してきた21,000円で、上値は3月の戻り高値と昨日の高値水準の21,800円だと思われます。
チャートでいうと、4月15日に窓を開けて上昇し、5月8日に窓を開けて下落し、いわゆる「アイランド・リバーサル」となっています。アイランド・リバーサルは高値圏でも安値圏でも、出現した場合は強いトレンド転換を意味するとされ、今回の場合は高値圏での出現ですから、5月7日の安値21,875円までの窓埋めは困難ということになります。米中関係の見通しも、4月後半は「全面合意が近い」というものでしたが、米中首脳会談を経て現在では「既存の制裁関税は継続。米中は今後も協議継続で、3,000億ドルに対する関税発動は今後の協議進展次第」となりました。会談前の先週の市場予想通りの展開であり、短期的な買い戻し以外に買い材料はありません。
ドル円も上値の重い展開となっています。昨日は原油価格の急落を受けて、期待インフレ率が低下する形で米国長期金利が低下したことが、ドル円の下落要因となりました。本日の日本市場では、ドル円は更に下落する動きとなっており、再びフシメの107.50円を試す動きとなっています。現在米国10年国債利回りは1.95%(BEI率1.64%、物価連動債利回り0.31%)となっていますが、現状水準から更に金利低下し、2%割れの水準が定着するとは考えにくく、ドル円の直近安値106,78円更新は想定できません。ただ一方で、前回のコメントでご説明したように、利下げの織り込みが後退しない限り上値も重い状態が続くでしょう。
ところで、日本政府による今回の韓国に対する対応ですが、現在のところは半導体材料(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)の輸出制限に注目されています。間違った反応だとはいえませんが、より大きい意味を持つのはホワイト国から韓国を除外する措置です。ホワイト国とは、技術の軍事転用の恐れがなく、基本的には何でも輸出してよいとされる国々で、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチンと主要欧州各国が指定されています。今回韓国が除外されたことで、今後軍事転用の恐れがある製品の韓国に対する輸出は、その都度許可が必要となります。事実上の輸出禁止措置です。
日本も韓国も、米国の同盟国ということになっていますので、今回の日本政府の措置に米国が関与していないはずがありません。日本政府の独断であるはずがありません。むしろ米国が、韓国発、北朝鮮経由でイランなどに軍事技術が流れている証拠をつかみ、米国主導で行なわれた措置である可能性が高いです。つまり、米国が韓国を見切り、ホワイト国からの除外は「チームUSA」からの除名処分と見られます。G20後の韓国訪問の際の米朝会談が、米朝韓3者会談ではなかったことも伏線だったように思えます。
今後、日本以外の「チームUSA」の構成国からの韓国に対する対応に注目です。韓国が「チームUSA」から「チーム中露」に移籍させられたということが明らかになれば、新たな貿易問題が浮上し、市場の混乱要因となるでしょう。