またしてもアルゼンチン危機&シカゴ筋ポジション
8月11日に行なわれたアルゼンチンでの大統領選の予備選挙(本選挙は10月。予備選挙とは本選挙での候補者を絞り込むための選挙。)で、現職大統領がポピュリズム(大衆迎合主義)を標榜する野党党首に大差で敗北したことを受け、2001年から2002年の時と同様に、アルゼンチンはまたしてもデフォルト(債務不履行)に向かうとの懸念が急浮上し、アルゼンチン資産は大幅なトリプル安となりました。8月12日の1日で、株は48%、国債(100年債)は27%、通貨(アルゼンチン・ペソ)は25%という、まさに大暴落です。
これを受けて、米国市場ではリスクオフの反応が広がり、米国株下落、米国債上昇(金利低下)、米ドルは小幅下落、ドル円は直近サポートの105.50円を下抜け105円トライまでの下落となりました。アルゼンチン以外でも、香港では6月の「逃亡犯条例改正反対」に端を発するデモが鎮静化しておらず、香港国際空港は閉鎖されるに至っており、混乱長期化による経済への悪影響が懸念されます。また、4-6月期業績発表は終了しましたが、総括すると「予想以上に4-6月期実績は弱く、会社計画の下期回復シナリオには疑問」というものでした。
目先の世界市場の方向性としては、明らかにリスクオフ優勢、すなわち株下落、債券上昇(金利低下)であり、債券上昇(金利低下)に限界がある日本市場では、株下落、ドル円下落という方向です。ドル円の次の下落目処は、年初のフラッシュクラッシュ時の安値104.70円と、2018年3月23日の安値104.63円ですが、その水準でサポートされると決め付けるのは危険な状況であり、ファンダメンタル状況の変化を伴う明確な底打ち反転を確認するまでは、安易に買い下がるべきではありません。
ただ、底打ち反転が確認されれば、ドル円上昇の値幅が出やすい状況になってきていることにも注目です。先週末に発表された8月6日時点のシカゴ筋ポジションは、円ショートが7月30日時点の41,246枚から35,664枚へ減少、円ロングが37,028枚から46,255枚へ増加、差し引きでは4,218枚のネットショートから10,561枚のネットロングとなりました。1万枚以上のネットロングは、世界株が急落した2016年1月からトランプ大統領当選直後の2016年11月の期間(最大のネットロングは2016年4月19日時点の71,870枚と2016年10月4日の68,695枚)以来のことです。8月7日以降にドル円は更に下落していることから、ネットロングは足元では更に増加している可能性が高く、明確な底打ち反転後の上昇エネルギーが溜まってきていると想定されます。
昨日は祝日だった日本株市場は、先週金曜日と昨日の米国株とドル円の下落の割には、下げ幅が小幅で下げ渋っている印象ですが、売り姿勢継続です。ドル円は様子見姿勢継続です。