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2019年8月30日のマーケット・コメント

「言葉」と「行動」のどちらを信じるべきか

 

昨日、中国政府報道官が「中国政府は、貿易戦争の激化は米中どちらのためにもならない。9月に訪米し、追加制裁関税の見送りを要請する」と発言したことを受け、中国政府はこれ以上の報復合戦には消極的だと捉えられ、米国株は上昇しました。トランプ大統領も「米中当局者が話し合いを行なう予定だ」と発言しており、市場の懸念払拭を図りました。

 

これまでも、米中両国とも「言葉」では、米中の緊張緩和を示唆するような発言をしてきました。今週月曜日にはトランプ大統領は「今が米中合意に最も近い状況にある」と発言し、米国株の反発要因となりました。しかし実際の両国の「行動」は、先週金曜日に中国が750億ドルの米国製品に対する報復関税再発動を表明、それに対し米国は即座に制裁関税の5%上乗せを表明と、合意に近いどころか対立は激化の方向です。

 

米中両国ともに、相手に対して弱気に出ることは許されないという事情がある一方で、自らが原因で市場に不安を与え、株式市場の大幅下落を招くことは避けたい、との思惑があるでしょう。特にトランプ大統領は来年に大統領選挙を控え、トランプ政権の政策が原因で米国株が大幅下落した、などという事態は絶対に避けたいと考えているでしょう。「言葉」というリップサービスは、費用も負担もかかりません。まさに「口では何とでも言える」のです。

 

しかし言うまでもなく、重要なのは「行動」です。米中両国が「言葉遊び」をしている間にも、制裁関税により中国経済は悪化が続いています。企業業績への悪影響も続きます。株式市場は薄商いの中、一喜一憂相場が続いていますが、日本株が上に抜ける要素は見当たらず、ボックスレンジの上限近くまで反発している現状水準は売り姿勢で臨むべきと考えます。今週月曜日に一旦軽くした売りポジションを売り直すタイミングです。