バリュー株相場は終了と見られる
米国長期金利の底打ち反転をきっかけに、9月10、11日の2日間にバリュー株(低PBR銘柄)が強烈な反発をしましたが、前回のコメントで指摘したように、その後はまちまちな動きとなり、本日ははっきりと逆回転(バリュー株がグロース株に対してアンダーパフォーム)しています。米国10年国債利回りも9月3日に1.46%まで低下した後、9月13日には強い小売売り上げ発表を受けて一時1.90%まで上昇しましたが、現在では1.80%となっています。
米国10年国債利回りですが、現状の1.80%は「実勢インフレ率の水準」であり、「今後2回の利下げを織り込んだ短期金利の水準」でもあります。いわば、現在適正と思われる金利水準です。シカゴ投機筋(非商業ベース)の米国10年国債先物のポジションは、2017年末以来ずっとネット・ショートで推移しており、8月の金利急低下(債券価格急上昇)の背景にはショートの買い戻しもあったと思われます。買い戻しにより低下しすぎた金利水準が、反動で適正水準を越えて1.90%まで上昇し、現在は適正水準に戻った、という状況であり、今後は大きく低下も上昇もしにくいと考えられます。投機筋ポジションはまだネット・ショートのままですので、ポジション解消は金利低下方向のエネルギーです。
次に、バリュー株のグロース株に対する相対パフォーマンスですが、先週の強烈な戻りを経て、7月以降の割り負け分をほぼ取り戻した水準にあります。前回のコメントで「今回のバリュー株相場は2016年後半などと違い、景況感回復を織り込んだ息の長いものではなく、あくまでも短期的な行き過ぎの修正に過ぎない」とご説明しましたが、行き過ぎの修正としては十分戻ったといえる状況です。
以上を総合すると、今回のバリュー株相場はほぼ終了したと考えられます。ただ、すぐにバリュー株の明確なアンダーパフォームが始まるのではなく、それは10月から11月の7-9月期業績発表でバリュー株の業績不振が確認されるのを待つ必要があるでしょう。
ところで日本時間の明日早朝にFOMCがありますが、0.25%の利下げ決定は規定路線として、今後の方針に関する表現に注目です。特に、パウエル議長の会見での表現が、過去何度か市場波乱のきっかけになったことがあるだけに、会見ではハト派的でもタカ派的でもない無色を打ち出したいはずですが、それでも「失言癖」が今回も出るかもしれません。