2020年 1月 16日 (木) |
米中合意内容は完全に事前報道通り-30日後に15%は7.5%に
昨日米国で、米中第1段階貿易合意の調印式が行なわれ、合意内容が正式に発表されました。その内容は、
- 知的財産権の保護、知的財産権侵害の防止策を講じる
- 外国企業に対する技術移転の強要を今後行わない
- 豚肉と大豆を中心に米国産農産物を1年間で500億ドル購入する
- 中国国内の金融サービス事業を米国企業に開放する
- 為替操作を禁止し、市場の透明性を確保する
- 米国からの輸入額を、2年後には2,000億ドル増加させる(現在の2倍以上)
7.米中両国は、合意内容が正しく実行されているかを、相互に査定・評価を行い、問題が見受けられる場合、制裁を行う
というもので、米国側が事前に発表した内容とまったく同じでした。制裁関税については、9月1日に発動した15%の関税率を30日後に7.5%に引き下げるとされ、これも結局昨年12月の包括合意後の事前報道通りの結果となりました。
これで米中貿易問題は、当面の間良くも悪くも市場材料にはならなくなり、市場の視点は企業業績動向とマクロ景気動向に移ると考えられます。日本では10-12月期企業業績発表が本格化するのは1月27日の週以降ですが、米国ではすでに始まっています。昨日の米国株引け後にはアルミ大手のアルコアが業績発表を行ないましたが、10-12月期業績は予想以上の赤字で、2020年も低迷が続く見通しが示されました。時間外取引で株価は下落しています。昨日引け後に業績発表を行なった11月決算の中堅機械メーカーの不二越(6474)も、2020年度減益見通しを発表しました。
景気敏感業種の業績に関して、市場は2020年度の大幅回復を織り込んでいますが、それが2020年度も2019年度と同水準で低迷するという見方に変わることにより株価は下落する、という見方に変更ありません。