シカゴ筋ポジション-ドル円110円台は定着するのか?
先週末に発表された1月14日時点のシカゴ筋ポジション(非商業ベース)ですが、円ショートが1月7日時点の60,094枚から81,150枚へ大幅増加、円ロングは47,846枚から49,720枚へ微増、差し引きのネット円ショートは12,248枚から31,430枚へ大幅増加となりました。ネット円ショートは昨年12月3日時点の47,823枚をピークに、5週連続で減少が続いていましたが、久しぶりに増加に転じました。
イラン情勢の沈静化と米中第1段階貿易合意を受けて、ドル円は昨年5月以来となる110円台回復となっています。シカゴ筋ポジションの推計簿価は、円ショートが108.83円、円ロングが108.44円なので、円ショートは含み益、円ロングは含み損となっており、利食いはゆっくり、損切りは素早く、というトレーディングの性質を考えると、含み損ポジションの投げで動きが出るのは円安ドル高方向ということになります。
しかし、米国株は連日最高値を更新するというリスク・オン状態の中、米国10年国債利回りは1.82%に留まっており、利回りが大きく上昇する気配はありません。昨年5月にドル円が110円台だった時には、2.40%を超えていました。また日米ともに、しばらくは金融政策の変更は見込めません。つまり、現状から更にドル円が上昇する材料がありません。
110円を超え、次の上の節目は112円という状況ですが、上昇がこのまま継続するのではなく、リスクオンの後退を招く何らかの材料を受けて、最大限108円割れ程度まで調整する、をメインシナリオとします。保有コストが生じるドル・ショートはお勧めしませんが、ドル・ロングはできるだけ軽くして、108円台で買い直せる体制にしておくべきでしょう。
2019年のドル円の年間値幅が非常に小さかったことが話題になっていますが、2020年は主要中央銀行の金融政策が2019年以上に硬直化していることを踏まえると、2020年の年間値幅は2019年以上に小さくなる可能性が高いと見られます。トレーディングでサヤ抜きを図るのであれば小刻みに動くしかなさそうです。もちろん中長期スタンスで、数円の値動きは気にしないということであれば、ドル・ロングを放置でも大きな問題は無いでしょう。