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2020年1月6日のマーケット・コメント

米国とイランの対立激化-継続的下落かショック安か見極めのポイント

 

2019年は結局波乱なく終わりましたが、2020年は年初から波乱含みの展開となっています。きっかけは1月3日に米国軍が、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官をイラク滞在中に空爆により殺害したことでした。「コッズ部隊」はこれまで親シーア派のテロ組織の支援に関わってきたことで知られ、ソレイマニ司令官はIS(イスラム国)の掃討作戦を指揮したことで有名なカリスマ的司令官です。米国は「イラク地域に滞在する米外交官・軍人を狙った大量殺害作戦を主導していた」と、司令官殺害の正当性を主張しています。司令官殺害を受けて、イランは米国に対する報復を表明、トランプ大統領はもしイランが報復行為に出たら、米軍は大規模攻撃を実行する、と表明し、両国をめぐる緊張感は急速に高まっています。

 

市場は当然リスク・オフの反応となっています。1月3日の米国市場では、米国株下落、米国債券上昇(金利低下)、ドル円下落、原油急騰、金(ゴールド)上昇となりました。それを受けて大発会の本日の日本株市場も、大幅下落となっています。ただ現物株の動きに特色はなく、先物主導での下落となっています。

 

振り返れば株式市場は、昨年9月以降、業績回復が見られない中、ほぼ一貫して12月半ばまで上昇が続き、12月後半は明らかに上値の重い展開でしたから、調整のきっかけとなる悪材料が出れば調整しやすい状態にありました。今後、株式市場の調整が継続し大幅下落となるのか、ショック安的な一時的な大幅下落に留まるのかは、次の2点に注目です。

1.イランないしは親イラン組織による米国に対する報復行為があるかどうか。報復行為があれば、大統領選挙に向けて強気をアピールするために、トランプ大統領はイランに大規模攻撃を仕掛けると思われます。

2.株式市場の下落が、先物主導から現物主導に変わる、すなわち景気敏感株主導の下落に変わるかどうか。これは短期投資家だけではなく、中長期投資家が動いてきたことを意味し、下落継続を示唆します。

 

市場動向を予想する上でより重要なのは1.よりも2.で、1.が起こっても2.が起こらなければ、株式市場の下落は一時的に値幅は出ても戻りも速い展開になる可能性が高いです。逆に、1.が起こらなくても2.が起これば、下落が継続する可能性が高いです。ショック安の場合の下値目処は、高値から1,500円下落の22,500円程度、下落継続の場合の下値目処は、200日移動平均線の22,000円割れ水準、重要なフシメである21,000円、高値から15%下落の20,500円が挙げられます。

 

なお、過去の大発会の日経平均とその後の動きをまとめると以下の通りです。

2019年:大発会は452.81円安。大発会が年の最安値となり、その後はもみ合いを経て上昇。(年間騰落率+18.2%)

2018年:大発会は741.39円高。1月に更に上昇するも、その後急落。その後も戻りきらずに10-12月に再び急落。(年間騰落率-12.1%)

2017年:大発会は479.82円高。その後もみ合いが続くが、9月から年末にかけて大幅上昇。(年間騰落率+19.1%)

2016年:大発会は582.73円安。1.2月は大幅下落。その後はもみ合いを経て11月のトランプ当選で大幅上昇。(年間騰落率+0.4%)

2015年:大発会は42.06円安。年前半は上昇、後半は乱高下。(年間騰落率+9.1%)

2014年:大発会は382.43円安。その後はもみ合いが続くが、10月末の日銀追加緩和で大幅上昇。(年間騰落率+7.1%)

2013年:大発会は292.93円高。アベノミクス相場で大幅上昇。(年間騰落率+56.7%)

 

2020年:大発会は451.76円安。今年はどのような展開になるのか?私は波乱の展開(ボラティリティが高い展開)を予想します。

今年もどうぞよろしくお願いします。