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2020年2月17日のマーケット・コメント

10-12月期GDP大幅マイナス-日本はリセッション入りに向かう

 

今朝発表された日本の10-12月期実質GDPは、前期比1.6%減、年率換算6.3%減と、事前予想のそれぞれ1.0%減、3.8%減を大幅に下回りました。これは5%から8%への消費増税があった2014年4-6月期の年率換算7.4%減以来の低水準です。ただ、今回の消費増税に伴う駆け込み需要や反動減の影響は、2014年と比べて小さいと言われており、実際に部門別に盛ると個人消費は事前予想の2.0%減よりもやや弱い2.9%減となっています。予想よりも大幅に弱かったのは設備投資で、事前予想の1.6%減に対して3.7%減でした。

 

このGDPの予想以上の落ち込みを、消費増税や台風被害の影響とする意見が多いですが、それらは個人消費の落ち込みの理由にはなっても、設備投資の落ち込みの理由にはなりません。おそらく設備投資の落ち込みの背景は、米中貿易戦争などによる中国経済の減速を受けた企業判断だと思われます。

 

では1-3月期の見通しはどうでしょうか。10-12月期には無かった要素として、新型コロナウィルス感染拡大があります。それにより、レジャー・娯楽を中心に個人消費が大幅に落ち込むのは確実で、企業の設備投資マインドも一段と悪化すると想定されます。きわめて高い確率で1-3月期もマイナス成長となると思われ、2四半期連続のGDPマイナス成長は、定義上「リセッション(景気後退)」となります。

 

気温が上がる4月頃になれば、新型コロナウィルス騒ぎは収束すると期待されています。しかし、もし4月になっても収束しないようであれば、おそらくIOCは東京オリンピックの開催中止を決定せざるを得なくなるでしょう。さらに4月から5月にかけて発表される2020年度の企業業績見通しが予想より弱い内容となり、3ヵ月後の5月半ばに発表される1-3月期GDPがマイナス成長で、「日本はリセッション入り」というヘッドラインが踊るという流れが想定されます。

 

市場が何をきっかけに上記のシナリオを織り込み始めるのかはわかりませんが、どう考えても日本株にはネガティブです。2月6日付のコメントで

「現状の24,000円近辺では、下げに備える何らかのポジションを作るべきでしょう。(先物・オプション、インバースETFなど)」

とご説明しましたが、現状の23,000円台半ばでも見方は同様です。