為替市場での円に対する反応に重要な変化
昨日の米国市場で、ドル円は1円以上円安ドル高となり、111円台となりました。理由としては、昨日公表されたFOMC議事録で政策金利水準を当面据え置くことが確認されたことを受けて、とされています。しかし、そのことはまったく意外感はなく、1円以上ドル円が動いた理由としてはしっくり来ません。そこで、ドルと円の動きを分けてみてみます。昨日15時時点のドル円は110.05円、ドルインデックス(ドルの主要全通過に対するレート)は99.47でした。昨日のNY引け時点では、ドル円は111.36円、ドルインデックスは99.705でしたので、ドル円は1.19%上昇、ドルインデックスは0.24%の上昇ということになります。
つまり、1.19%と0.24%の差である0.95%分は「円が下落した」ということです。これまで長らく「円は避難通貨」とされ、「リスクオフ=円買い」という反応でした。ところが、昨年9月以降は「リスクオン=円売り」「リスクオフ=円買い」という相関が、ドル円で見ると明らかに消失し、「リスクオフ=ドルも円も買い」「リスクオン=ドルも円も売り」という反応になり、ドル円は小動きという状態になりました。
そして昨日のNY市場では明らかに円が売られました。その背景として考えられることは、「10-12月期GDPは大幅マイナス成長」+「コロナウィルス感染拡大で1-3月期もおそらくマイナス成長」=「日本はリセッション入り」=「日銀による追加緩和、政府による財政出動」=「財政悪化」という連想でしょう。私は、長年「安倍政権の政策や日銀の政策は円安材料だ」と考え、本の著作を初め機会を捉えてメディアやセミナーでも主張してきました。ところが「リスクオフ=円買い」という条件反射的市場反応が根強く、理屈に合わない市場反応がいつまで続くのか、何をきっかけに市場反応が理屈どおりになるのか、をずっと考えてきました。
それがついに「新型コロナウィルスの日本での感染拡大」という、思いもよらなかったきっかけにより、為替市場での反応が「理屈どおり」に変化したと見られます。本日の日本株市場は、米国株上昇とドル円上昇を受けて大幅に反発しています。しかし、昨日NYの為替市場での反応の背景が理解できれば、日本株は積極的に売るべきということになります。先物売でもレバレッジETFの信用売りでもインバースETFの買いでも、できる方法で何でもいいので、日本株の売りポジションを取るべきだということを強調します。