FRB異例の緊急利下げ-効果は危機感を煽るだけか
日本時間の今朝、米国時間の日曜日夜に、米FRBは政策金利1%の緊急利下げを決め、FFレート誘導目標は0-0.25%と、ゼロ金利政策に逆戻りとなりました。3月3日の0.50%に続き、今月合計1.50%の緊急利下げとなり、まさに異例の措置と言えます。しかし、今回はリーマンショックの時と違い、信用収縮が景気後退の原因になっているわけではなく、ウィリス感染拡大のための経済活動低下、およびウィルス感染を恐れる結果として経済活動低下が原因で、そのために起こるかもしれない信用収縮は結果です。利下げは実体経済に効果はありません。
むしろアナウンスメント効果としては「現在の状況はリーマンショック時以来の危機的状況だとFRBは認識している」ということになり、危機感を煽るだけのマイナス効果になる恐れがあります。また今回の利下げでもはや利下げ余地がなくなってしまったこともネガティブです。緊急利下げを受けて、時間外の米国株先物は急落しています。米国債は急騰(金利急低下)です。米ドルは高止まっており、金利低下というドル安要因と「有事のドル買い」というドル高要因が相殺する形です。ドル円は利下げ決定直後は105円台に急落しましたが、その後値を戻し107円台の推移となっています。もはやリスクオフで対ドルで円が買われなくなった、ということです。
日経平均は17,000円台前半での小動きとなっていますが、「1.0%の緊急利下げ」「利下げを受けて米国株急落」「米国金利低下でもドル高止まり」という、これまで見られなかった市場反応をどう解釈するか、消化不良の状態であることがうかがえます。しかし、株式市場の方向性は明らかに下です。
目先想定される日経平均の動きですが、金曜日に16,691円まで下落し、その後の先物イブニング・セッションで18,230円まで戻り、下げの第3波動は戻りまで完成しました。メインシナリオはすでに第4波動が始まっていると考え、18,230円から15%下落の15,496円を目処とする下落波動、サブシナリオは連続下落波動は3回で一旦終了し、直近安値16,691円から直近高値(現物ではなく先物ですが)18,000円前半でのレンジの乱高下、と考えます。